マイナンバー記入の強制等の事例収集中間報告(3)
勤務先、取引先等の事例
【2】勤務先、取引先等の事例
従業員等には記載の義務はなく、書類の提出先である国税庁や社会保険庁、健保組合、ハローワークなどは、マイナンバーの記載がなくても受理し、未記載で提出した民間事業者に罰則はなく不利益な扱いはしないと説明しています。ただ国税庁は個人情報保護の観点から提供を求めた経過等を記録、保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておくよう求めています。
しかし以下のような事例が寄せられています。
1)記入の強制等
*マイナンバー制度に協力することを前提に給料を支払う、と全従業員の前で宣言(2015.10東京 #12)Tweet
*アルバイトで記入がない場合は雇用できないといわれた(2016.11東海地方 #13)Tweet
*アルバイトの面接で採用された時にマイナンバーを提出するよう言われた。違和感を感じあきらめた。(2016.11神奈川 #14)Tweet
*マイナンバーを伝えないと年末調整の書類を受け取ってくれない。(2016.11東京 #15)Tweet
*マイナンバーを出さないことで繰り返し誹謗やパワハラを受けている。(2016.4~11東京 #16)Tweet
*会社からどうしてもマイナンバーを出してと言われて渋々だした。(2016.11山梨 #17)Tweet
*「年末調整の扶養控除等申告書のマイナンバーを記入しないのなら意思表明をしなさい」と言われて、書類を受け取ってもらえなかった。(2016.11沖縄 #18)Tweet
*「会社の会計システムがマイナンバー必須になったので、会計システムを入れてある会社のコンピュータにあなたのマイナンバーを入力しなければ今後給与を出せなくなる」と脅され、泣く泣く市役所からナンバー入りの住民票を発行してもらい番号を提出。(2016.12長野 #19)
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*事業主から会計士から言われて居るので源泉徴収の用紙にマイナンバーを記入するように言われ、制度に反対でマイナンバーを記入する意志がない事を伝えたところ、そのように会計士に伝えるように言われたが、その後社長から直々に電話があって、役所に行ってナンバーを聞いて来て記入するように強制された。マイナンバーの記入がない用紙は受け取れない、と言われてそのままになっている。(2016.12京都 #20)
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*Wワークのアルバイトしている2社からは強制的な提出は求められていないが、新たな仕事を探したところ、雇用条件としてマイナンバーの提出できない人は採用しないとの事で、新たな仕事に就くことが出来ない。(2017.1東京 #21)Tweet
*家族の会社から、マイナンバーを提出しないと扶養に入る手続きができないと言われた。おかしいと思う。仕方なく提出したが、いまだに不安。(2017.1神奈川 #22)Tweet
*新しい勤務先でマイナンバーを提出しろと言われ、「不安があるので受け取っていない。今後も受け取りたくない、提出したくない」と伝えると、それではうちで働かせることはできないと言われた。マイナンバーがないとどこでも働けなくなるとまで言われ、この国のありように不安を感じている。(2017.2東京 #23)Tweet
2)収集、管理への不安
*会社から税務署に提出する法定調書に記入が義務づけられたので提供を求めるお願いが届き、収集などは(株)だいこう証券に委託していると書かれていた。(2016.11三重 #24)Tweet
*公的機関の非常勤職員でマイナンバーを無記入で提出し拒否すると伝えたら、上司の説得でも提出しないと継続して説得し、さらに所属長からの説得もあると言われた。公的機関なだけに余計漏洩が危惧され、国の管理にさらされることが心配(2016.11鳥取 #25)
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*教室の講師として報酬を得ている公民館の運営管理委託会社から、マイナンバー収集の書類が送られて来た。身元確認用台紙にマイナンバーカードの表面、運転免許証、パスポートのいずれかのコピーを貼り、番号確認書類用台紙にマイナンバーカードの裏面か通知カードのコピーを貼って、「マイナンバー提供キット在中」という封筒で送れと書いてあった。個人情報の取り扱いのずさんさに憤りを感じる。一時的な仕事で現物のコピーを送るのは恐ろしい。(2016.12埼玉 #26)Tweet
*かつてのアルバイトの勤務先から「源泉徴収票発行にマイナンバーが必要となるためマイナンバーカードか通知カードのコピーを提出するように」と言われたが、個人番号はすでにそれが記載されている住民票のコピーを提出しており、2度も収集する意図が理解できず困惑している。(2017.2岡山 #27)Tweet
*公立学校共済組合の新規資格取得および被扶養者認定の申告にあたって、1月よりマイナンバーの「記載が必要」ならびに、現職組合員に関しては北海道が取得したナンバーを「利用する」旨の通知文書。いずれも「記入する」ことが前提となっていて、記入したくない者は不同意の旨を所定の書式で提出することを求めている。問題として
- (1) 行政組織間の情報のやり取りに際して、番号の保護管理がどのようにされるのか不明。
- (2)「所定の様式」の文面で「記入しないことによって受ける不利益は甘受する」と誓約させられる。脅しの書類で意思表示することはできない。
(2017.1北海道 #28)Tweet
勤務先関係については、その他にも私たちに電話相談などが多数寄せられています。中には「カードを受け取っていないのでマイナンバーがわからない」と答えたら、会社が自治体に問い合わせてカードが交付済であることを確認して記入を迫ってきた例もあります。
また扶養控除等申告書にマイナンバーを記入しないと受け付けず家族手当を削除するとされた例では、労働基準監督署に相談したものの、一方的な不利益変更と認めつつも労基署として対応することは難しいとされています。
強制事例収集の「中間報告」
共通番号いらないネットでは、マイナンバーの記入を強制するような対応の是正を関係機関に求めるために、2016年11月からホームページで「強制事例等」の報告を呼びかけたところ、3月10日までに36件の報告が寄せられました。いずれもマイナンバー記入への疑問と、不当な扱いをなんとか是正してほしいという強い期待が込められた報告でした。
その他私たちに寄せられる電話や学習会などでの質問・報告をうけ、私たちは »リーフレットNo.4 で不当な対応が行われていることを世論に訴えるとともに、それらへの対応策を示しました。また関係省庁や機関に対して、これらの是正を求める取り組みをしています。
»強制事例等収集サイト は、2017年3月31日までを第1期の収集期間としています。マイナンバー制度の中止・廃止をめざして引き続き報告を呼びかけます。
2017年3月12日
共通番号いらないネット事務局
<寄せられた報告の集計>
中間集計日:2017年3月10日
総数:36件
地域:東京都をはじめ熊本県、横浜市、三重県、鳥取県、山梨県、沖縄県、茨城県、長野県、埼玉県、千葉県、山形県、京都府、鹿児島県、岡山県、北海道、神奈川県、兵庫県など全国に及んでいます。
事例の発生時期は2016年10月以前が12件で、その後は11月7件、12月5件、1月6件、2月5件、3月1件となっています。