マイナンバーはいらない

post by nonumber-tom at 2017.7.12 #181
マイナンバー 未記入 確定申告等 金融機関窓口手続き 国税庁

国税庁にマイナンバー未記入の扱いを再確認

 3月3日の国税庁からの説明で残された以下の3点について、追加質問をしていましたが、5月12日付で国税庁から文書回答がありましたので報告します。
  • (1) 申告書等に個人番号未記載の場合、後日連絡することがあるとQ&A;に書いてあるのはマイナンバー詐欺等に悪用されないか
  • (2) 従業員から個人番号の提供を拒否された場合に記載を求めている「経過等の記録」の目的および記録の何を確認するのか
  • (3) 金融機関で個人番号未記載だと受理できない手続の根拠法令と、受理できない手続の確認

 3月3日に行われた省庁からの説明1 で、国税庁で不明確だった3点について、福島みずほ事務所を通して追加質問をしていましたが、5月12日付で以下のような文書回答がありました2

未記載の場合の「税務署からの問合せ」について、FAQに「注記」を追加

質問1)
 「番号制度概要に関するFAQ」3 Q2-3-2の「なお、記載がない場合、後日、税務署から連絡をさせていただく場合があります。」について。「連絡」がマイナンバー詐欺等に悪用されないための記載の変更内容や連絡方法の検討。

(回答)

 先般(平成29年3月3日)、Q2-3-2の「記載がない場合、後日、税務署から連絡をさせていただく場合があります」の記載について、「マイナンバー詐欺を誘発するおそれがある」とのご指摘を踏まえ、現在は「電話で直接マイナンバー(個人番号)を聞くことはありませんので、税務職員を装った不審な電話にはくれぐれもご注意願います」の文言を追加したところです。

 いずれにしても、申告書等へのマイナンバー(個人番号)・法人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務であることから、税務関係書類に番号を正確に記載した上で提出いただくよう、適切な周知・指導に努めてまいります。

 回答のように、5月1日付で国税庁の「番号制度概要に関するFAQ」のQ2-3-2は更新され、税務署から連絡する場合でも「ただし、その場合でも電話で直接マイナンバー(個人番号)を聞くことはありませんので、税務職員を装った不審な電話にはくれぐれもご注意願います。」が追加されました4
 さらに「※税務職員を装った不審な電話、メールなどにご注意ください。」との注意喚起のリンク5がはられています。
 このリンク先には、不審な電話・メール・訪問その他の事例が数多く紹介され、被害に遭わないための注意事項も載っています。
 さらにe-Tax利用者に送る「税務署からのお知らせ」メールの文例を列挙し、これ以外は偽装メールだと注意喚起しています。
あいまいなQ&Aを載せたことは軽率
 私たちはマイナンバー制度の廃止を求めていますが、それはマイナンバー制度が私たちに様々な被害を与える危険性があるからです。少しでもその被害を軽減しようとこの質問をしましたが、私たちが思った以上に国税庁からの電話等を語った詐欺が発生しているようです。
 このような状況がありながら、詐欺の口実に使われかねない「後日、税務署から連絡をさせていただく場合があります」というあいまいなQ&Aを載せたことを、改めて軽率だと感じます。追加文は改善ですが、電話で問い合わせすること自体に不安はぬぐえません。
5月31日国税庁から、確定申告のマイナンバーの記載率は83%と発表されました(e-Taxを利用せず税務署で手続きした人では80%)。少なくない人がマイナンバー制度に不安を抱き、記載を拒んでいることが明らかになっています。番号記入が強制されないよう、今後とも取り組んでいきます。

従業員がマイナンバーを提供しない場合の記録は、従業員側の意思で未記載であることの確認にとどめるべき

質問2)
 「源泉所得税関係に関するFAQ」Q1-13の、従業員からマイナンバーの提供を拒否された経過等の記録について。この記録の目的(特定個人情報保護のためか、それとも源泉徴収義務の履行の確認のためか。後者の場合、それは税務調査か)および記録の何を確認するのか(拒否の理由を確認すると思想調査にならないか)

(回答)

 所得税法においては、従業員が源泉徴収義務者である勤務先に「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出する場合には、当該申告書に従業員等のマイナンバーを記載することとされており、また、勤務先は、一定の給与所得者に関して、従業員等のマイナンバーを記載した「給与所得の源泉徴収票」を税務署に提出することとされています。

 このため「源泉所得税関係に関するFAQ」Q1-13においては、従業員からマイナンバー(個人番号)の提供を拒否された場合には、まず、「従業員等に対してマイナンバー(個人番号)の記載は、法令で定められた義務であることを伝え、提供を求めてください。」と説明しているところです。

 しかしながら、従業員に対してマイナンバーの提供を求めたが、提供がされなかった場合は、源泉徴収義務者において上記の税法上の手続が行われていない状況となることから、そのことを明らかにしておく意味において、マイナンバーの提供を求めた経過等の記録、保存を行うようお願いしているものです。

 また、特定個人情報保護の観点からも、マイナンバーの提供を受ける個人番号関係事務実施者は、マイナンバーを安全管理措置のもと適切に管理する必要があることから、マイナンバーの管理状況を明らかにする意味においても、経過等の記録、保存をお願いしているものです。

 回答では、「記録の目的は何か。特定個人情報保護のためか、それとも源泉徴収義務の履行の確認のためか。後者の場合、それは税務調査か。」の質問には、明確な説明はなく、交渉では、特定個人情報保護が目的であれば税務署ではなく個人情報保護委員会が確認すべきではないかと質しましたが、それも触れられていません。
 ただ今回の文書回答では、目的は「源泉徴収義務者において上記の税法上の手続が行われていない状況となることから、そのことを明らかにしておく意味において」とされ、事業者の義務の履行を確認するためとは書かれておらず、税務調査ではないと理解できます。
 また「記録の何を確認するのか(拒否の理由を確認すると思想調査にならないか)」については、答えはありません。
事業者にプレッシャーをかけず、記録の範囲・目的を明確にすべき
 従業員等にはマイナンバーの提供義務はありませんが、事業者は未記載で出すと税務署に調査に入られるというプレッシャーを感じると、強圧的に従業員等に提供を求めることになりがちです。  私たちは、このような確認を国税庁・税務署が行わないよう求めますが、すくなくとも単に従業員側の意思で未記載であることの確認にとどめ、事業者に記載義務の履行を迫らないことや、どの従業員がどんな理由で拒否したかの確認をしたりしないことを、明確にすべきです。

マイナンバー未記入だと手続きできない事務が明確に

質問3)
 金融機関での個人番号の記載について。提示された法律で「個人番号が未記載の場合に書類が受理できないと定められている書類一覧」で受理できないと規定している事項の、税法の条文。  及び内閣官房のサイトの「マイナンバーの提供を求められる主なケース」の金融機関等で提供する必要があるものとして列挙されている手続きのうち、個人番号未記載の場合に受理されないものがあるかの確認。

(回答)

 先般(平成29年3月3日)お示しした「個人番号が未記載の場合に書類を受理できないと定められている書類の一覧」に係る法律の規定については、別添16 のとおり(平成29年3月8日提供資料)。

 別添1で示した個人番号が未記載の場合に書類を受理できないと定められている10の手続について、内閣府HPに掲載されている「マイナンバーの提供を求められる主なケース」のどの箇所に含まれるかについては、別添27 のとおり。

受理できない根拠法令は示されたが、その解釈は検討が必要
▲マイナンバーの提供を求められる主なケース
(クリックで拡大/縮小)
 「別添1」(その1:関連法令の抜粋)で、個々の法文の該当箇所が資料として示されています。法文の検討はこれからの課題ですが、たとえば特定口座開設や非課税口座開設では、受理できない理由として「告知を受けたものと異なる氏名、生年月日、住所及び個人番号が記載されている同項の申請書については、これを受理することはできない」となっており、これを未記載の場合に受理できないと解するのは疑問も残ります。
「マイナンバーの提供を求められる主なケース」の大部分は、
提供しなくても手続きは行われる
 またマイナンバーの提供がないと受理されない「別添1」(p.15に収録された 別添1 その2:「個人番号が未記載の場合に書類を受理できないと定められている書類の一覧」)」8 の各手続きが、内閣府HP掲載の「マイナンバーの提供を求められる主なケース」9のいずれか該当するかについては、「別添2」(該当項目が手書きされた「マイナンバーの提供を求められる主なケース」)の中で、
  • ・金融機関で株、投資信託、公社債などの証券取引をされている方
  • ・非課税適用の預貯金・財形貯蓄をされている方
の2項目にだけに該当することが示されました。
 回答により、内閣府HPに掲載されている「マイナンバーの提供を求められる主なケース」の以下のケースでは、提供がない場合でも書類は受理され手続きは行われることが明確になりました。
  •   マイナンバーを提供しなくても受理される「ケース」
  • ■勤務先へ提供
  • ・給与、退職金などを受け取る方
  • ・厚生年金、健康保険及び雇用保険の資格を取得される方
  • ・国民年金の第三号被保険者(従業員の配偶者) など
  • ■契約先へ提供
  • ・報酬、料金、契約金を受け取る方など
  • ■不動産業者等へ提供
  • ・不動産業者又は法人から年間100万円超の不動産譲渡の対価、又は年間15万円超の不動産仲介料もしくは不動産使用料(家賃)を受け取られる方
  • ■金融機関等へ提供
  • ・国外送金又は国外からの送金の受領をされる方
  • ・生命保険契約・損害保険契約(支払額100万円超の死亡保険、年間支払額20万超の年金保険、支払額100万円超の一時払い特約・満期返戻金特約等)、又は共済契約をされている方
  • ・先物取引(FX取引等)をされている方
  • ・信託会社に信託されている方
  • ・1回200万円超の金の地金を売却される方
  • ・非上場株の配当を受け取る株主など
  • ■税務署、日本年金機構、ハローワーク、労働基準監督署、都道府県、市町村、全国健康保険協会、健康保険組合へ提供
  • ・社会保障、税、災害対策に係る行政手続を行う方

Note
*1 3月3日の国税庁関係の回答については »「確定申告等のマイナンバー記載を 国税庁に確認」 を参照
  他の政府機関回答についての記事のリンク一覧を、末尾に収録しています
*2 »「質問項目に対する回答について」(国税庁 2017年5月12日)
*3 »「番号制度概要に関するFAQ」(国税庁)
*4 »「番号制度概要に関するFAQ (1)国税分野における利用」(国税庁サイト)
*5 リンク先のページ »「税務職員を装った不審な電話、メールなどにご注意ください」(国税庁)
*6 前出 *2 »「質問項目に対する回答について」収録「別添1」(p.2〜13) が関連条文。
 ◯注意:国税庁回答の末尾p.15の「別添1」(その2)とは別文書
*7 前出 *2 »「質問項目に対する回答について」収録「別添2」(p.14「マイナンバーの提供を求められる主なケース」) 原資料は下記 *9。
 ◯手書きされている1〜10の数字は、*8「別添1」(その2)の手書き数字に対応している。
*8 前出 *2 »「質問項目に対する回答について」収録「別添1」(その2)(p.15「個人番号が未記載の場合に書類を受理できないと定められている書類の一覧」)
 ◯注意:この「別添1」(その2)は、 *6の「別添1」とは別の文書。
 ◯手書きされている1〜10の数字は、*7「別添2」の手書き数字に対応している。
*9 「マイナンバーの提供を求められる主なケース」(内閣府)
◯マイナンバー関連府省庁交渉の報告(聞いてみたシリーズ)一覧

■総務省
»総務省に、市町村から事業者へのマイナンバー通知等を質す
»情報連携はどうなるのか(1) 総務省から回答
»情報連携はどうなるのか(2) 課題山積の情報連携
»「特別徴収通知書」へのマイナンバー記載問題で 総務省から回答
■厚生労働省
»マイナンバー記載なくても手続き進める 厚生労働省が説明
■国税庁
»確定申告等のマイナンバー記載を 国税庁に確認
»国税庁にマイナンバー未記入の扱いを再確認
■金融庁
»金融庁が金融機関でのマイナンバー記入に柔軟な対応を通知
■内閣官房
»国家公務員にマイナンバーカード取得は強制できない 内閣官房回答
■個人情報保護委員会
»個人情報保護委員会は機能しているか

*photo素材 : ぱくたそ / © すしぱく / モデル:大川竜弥

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