マイナンバーはいらない

post by nonumber-tom at 2017.6.3 #172
マイナンバー 省庁交渉 厚生労働省 社会保障 雇用 健康保険

マイナンバー記載なくても手続き進める
厚生労働省が説明

 5月26日、厚生労働省から1)社会保障関係の窓口での番号記載の扱い、2)雇用関係での個人番号の提供、3)健康保険関係のマイナンバー制度の利用の3点の質問に対する回答を受けました。従来どおり必要書類を提出すればマイナンバーの記載がなくても受け付け、手続きがされることを確認しました。また、雇用関係のなかで提出しないことを理由とした不利益扱いについては事業主に指導していくことが確認されました。


 私たち共通番号いらないネットの「番号強制事例収集サイト」には、市町村などの窓口で個人番号(マイナンバー)を記入しないと保育園や生活保護や医療費助成などの手続きができないと言われた事例や、来年度以降は手続きができなくなるかもしれないと言われたり、執拗に記載を求められた事例が寄せられました。また職場では個人番号を提出しないと給与や家族手当が払えないとか年末調整ができないとか言われたり、非正規労働者では採用しないとか雇用契約の更新をしないなどの不利益取り扱いの事例が報告されています。これら不適切な扱いの是正が求められています。
 一方、今年7月から情報連携が始まる予定ですが、健康保険関係では実施の延期や費用負担の問題が報じられています。またハローワークシステムで個人番号の提供を拒んだ場合の扱いが不明でした。
 これらについて、参議院議員福島みずほ事務所の仲介で、厚労省に質し1 ました。

1. 社会保障関係の窓口での個人番号記入の扱いについて

(1) 番号記載がないと受理されない手続きがあるのか?

 「番号記載がないと受理されない手続きがあるのか?」の問いに、厚労省情報化担当参事官室より、個人番号は行政事務の効率化や公平な給付、行政機関のコスト削減などを目的にしているので記載に理解をいただきたいが、記載がないことを理由に受理しない扱いはないことが明言され、以下の説明がありました。
 申請書類への個人番号の記載は、名前や性別の記載と同様に個々の法律の施行規則等で決まっているが、記載が漏れていたら受理しないという固い運用はしていない。社会保障の受給権は番号の記載と関係なくあり、記載がないからと手続きが止まるとか受けられるべきものが受けられないということはない。番号記載の取扱いについては各局で対応しており集約していないが、記載がないと受理しないとかサービスを受けられないということを周知したり文書にしていることはない。

(2) 差別的扱いを受けるおそれのある情報や狙われやすい子どもの情報について

 疾病や障害、困窮等差別的扱いを受けるおそれのある情報や狙われやすい子どもの情報の漏洩や利用に不安があることに、どのように配慮しているかについては、障害とか高齢で配慮が必要な方については、平成27年12月17日の事務連絡2 の第2(2)で、代理申請は難しいのでマイナンバーを記載せずに従来どおりの申請をしてくださいと自治体や関係団体に通知しているとの説明がありました。

(3) 「強制事例」についてーーその1

 そして、私たちの示した窓口等での不適切な対応事例3 については、事例を教えていただけたことは大変ありがたい、マイナンバーへの不安感や機微な情報もあり、記載を強制することで本来受けるべき手続きが滞ってしまうのは良くないので、厚労省から自治体に主管課長会議の場などできちんと話をしなければいけないと思っているとの発言がありました。

2. 雇用関係での個人番号の提供について

 個人番号の提供がないことを理由に不利益扱いを行わないよう、どのように周知し、労働基準監督署等にどのような対応を指示しているか質しました。

(1) 労働基準局からの周知と労働相談について

 厚労省労働基準局からは周知について、昨年2月「マイナンバーを提供しないことを理由とする賃金不払い等の不利益な取扱いや解雇等は、労働関係法令に違反又は民事上無効となる可能性」があるというリーフレットを作成し相談窓口で渡すとともに、平成28年3月3日付の事務連絡4で、都道府県労働局にこのリーフレットの配布を依頼し、その内容に留意して相談者に対応するよう周知徹底しているとの回答がありました。
 また相談に対しては、全国380箇所の労働基準監督署総合労働相談コーナーで、マイナンバーを提供しないことで解雇されたとかそういう話があれば、違法な解雇として無効になる可能性があることを相談者の求めに応じて事業主に個別労働紛争解決促進法に基づき助言指導していること、またマイナンバーを提供しないことで賃金を支払わないのは労働基準法違反となるので監督指導をおこなっていく、との回答がありました。

(2)「強制事例」についてーーその2

 そして私たちの示した「強制事例」3 に対しては、貴重な事例なので共有してどういう対策がとれるか検討していかなければならない、相談事例は随時報告を受け動向は注視している、相談に対しては個別労働関係紛争状態であれば労働局長による助言指導ができるので、紛争になった後ではあるが十分事業主側に説明して解決するよう努力したいとの発言がありました。ただ扶養控除等申告書にマイナンバーの記載がないからと雇用主が年末調整をしないという事例については、税制上のことなので税務署からの指導になると思われ、労働基準監督署からの指導は難しいとの補足がありました。

(3) ハローワークシステムでの個人番号の扱いについて

 システム構築中のハローワークシステムでは、「職業安定行政業務に関する事務全項目評価書」5 によれば、雇用保険、求職者支援、職業紹介、助成金の事務において情報連携を予定し、情報提供用の「符号」を取得するためには個人番号管理システムで個人番号を住基ネットに送ることになっています。そのため個人番号の提供を拒んだ場合の扱いについて確認しました。
 職業安定局からは、個人番号の提供を受けないと情報連携ができないが、個人番号の提供がないからといって手続きを受理しないということはなく、従来どおり添付書類の提出を求めることになるとの説明がありました。

3. 健康保険関係におけるマイナンバーの利用について 

 3月17日の情報連携の本格運用延期の報道の中で、健康保険の分野は準備の遅れとシステム費用の削減のために情報参照を含む全面延期を検討していると報じられました。また4月7日の朝日新聞では、システム運営費をまかなうために健保組合に対して利用料として1人当たり月額10円弱の負担を通知し健保組合が猛反発し、ある健保組合の幹部は「マイナンバーで得られる情報は、これまで通り加入者にじかに求める方が簡単だ。システムはかえって手間がかかるので使わない」と話したと報じられています。

(1) マイナンバーを利用する健保組合の費用負担について

 これら報道について保険局から、情報連携の全面延期の報道は事実ではなく、当初のスケジュールどおり総合運用テストを進め7月の情報連携の開始に向けて取り組んでいるとの説明がありました。
 また費用負担については、健康保険組合が翌年度の予算を作るための目安として単価9.87円を示したもので、費用の削減に引き続き取り組んでおり、現在最終的な調整してこれから保険者へ説明し情報連携を開始できるようにするとの説明がありました。

 なお情報連携の開始時期については、総務省は3月17日に自治体の取扱いとして7月から秋ごろまで試行運用期間を設けると発表しているが、厚労省はまだ対外的に発表しておらず、これから詳細を医療保険者に示すので今日は説明できないが、試行運用など窓口の取扱いは制度全体の取り組みなので長めになるというイメージを持っていただければいいということでした。

(2) 健保組合は、個人番号をどのように取得するか

 もう一点、健康保険事務での従業員からの個人番号の取得方法について確認しました。個人番号の取得方法は、本人からの取得、事業主からの取得、住基ネットを使って地方公共団体情報システム機構(J-LIS)からの取得、などの方法があります。
 保険局からは、以下の説明がありました。
 企業の健康保険組合では従業員の個人番号の収集は基本的に事業主から取得するように、健康保険組合に対し平成27年9月30日付の通知でお知らせしている。それは個人番号の取得ではその番号が正しいのかどうか本人確認措置が必要なことと、番号収集にあたっては従業員の理解が重要だと考えているから。仮に住基ネットを使う場合でも、勝手に知らないうちに集めることにならないよう、可能なかぎり取得を社員に説明してもらうことを健康保険組合から事業主にお願いしている。

(3) 協会けんぽは、個人番号をどのように取得するか

 協会けんぽでは、被保険者分は日本年金機構から提供を受けているが、被扶養者分は年金機構から取得することはできず、また協会が直接被扶養者と接触する方法をもたないことから、氏名・性別・年齢・住所の4情報を用いてJ-LISから個人番号を取得する取扱いをとっている

(4) 健保組合で、事業主が従業員から提供を受けられなかった場合どうするか

 これについて、事業主が従業員から提供受けられなかった場合に健保組合はどうするかたずねたところ、時間をかけて事業主や本人にお願いをしている状況だが最後は住基ネットからの取得をせざるをえない、ただそうする場合でも、取得対象の人に対して健保組合から何をしたのか、事業主側から何をお願いしてもらったか、強制はしていない経過を記録しておくよう健康保険組合に話をしているとのことでした。

(5) 特別徴収税額通知書で知った個人番号は無断転用できない

 関連して、5月に全国の市町村から事業者に送られている住民税の天引き(特別徴収)のための税額通知書に、今年からマイナンバーが記載されていることについて、個人番号の収集の際は利用目的を明示することが個人情報保護法第18条で求められており、税務事務のために通知されたマイナンバーをそのまま健康保険の手続きのために利用することはできないことを確認しました。

(6) 税額通知書で知った個人番号の転用は「事業主としてはやりづらい」

 この問題については、個人情報保護委員会は2017年3月29日のガイドラインQ&A更新6 で、利用目的を特定し本人に通知等している範囲内で本人以外から提供を受けた個人番号についても利用できる、としています(Q1-3-2)。つまり、健康保険事務を利用目的として従業員に明示していない場合や、そもそも個人番号の利用目的を明示していない場合に、通知された個人番号を本人に説明なく健康保険の手続きに転用するのは不正利用です。
 総務省は自治体に対して、「当該通知書により提供を受けた従業員の個人番号については、地方税に関する事務以外の事務に利用することはできません。」と通知7しています。
 このガイドラインの適用について保険局からは、法律上の違反かは確認するとしながらも実務上転用は難しいとして、「税法上の通知で得た番号が健康保険で使えるかというと、この番号はきちんと本人に確認しているのか問うた場合に、そうではないと言われるとその番号を使って情報連携の基礎になるキーを作るので間違っていたらまずいということもあり、実務上、通知に書いてあるから使ってしまうのは事業主としてはやりづらい」という説明がありました。
*なお、特別徴収税額通知書の問題については、日弁連の「特別徴収義務者宛の通知書から個人番号記載欄を除去すること等を求める意見書」8 を参照してください。

Note
次の記事 « » 前の記事