マイナンバーはいらない

post by nonumber-tom at 2017.6.9 #174
マイナンバー 省庁交渉 総務省 情報連携

情報連携はどうなるのか (1)
総務省から回答

共通番号いらないネットは2017年3月3日、総務省に
 (1)情報連携はいつからどのような手続きで始まるのか
 (2)テストの時間をとるべきではないか
と質しましたが、この時点では「検討中」との説明でした1。その後3月17日に総務省と内閣官房が今後のスケジュール(案)を示したため、改めて総務省に4月27日に質問をし、回答を得ましたので報告します。


1.延期が続く情報提供ネットワークシステムの利用開始

 マイナンバー制度の目的とされる行政機関をまたいだ情報の連携を行う「情報提供ネットワークシステム」は、当初2017年1月からスタートし、7月からは自治体を含めた本格運用開始が予定されていました(マイナンバー概要資料平成28年8月版2)。
 しかしスタート直前の2016月12月28日、政府は情報連携の施行日を2017年5月30日とする政令405号を公布しました3。番号利用法の附則第1条第5号では、情報連携の開始は番号利用法の公布日(2013年5月31日)から4年を超えない範囲内において政令で定める日となっていましたが、この期限ギリギリの日が施行期日になりました。
 ところが、5月30日から情報連携は始まらず、政府は自治体を含め2017年7月から運用開始の情報を流していました

(1) 再質問のいきさつーー政府は市民に何も説明していなかった

 このため、共通番号いらないネットでは2017年3月3日に各省庁からの説明をうけた際、総務省に
  • 1) 情報連携はいつからどのような手続きで始まるのか
  • 2) マイナンバーカード交付システムはテスト不足でトラブルを起こしており、同じ5社が共同開発している情報提供ネットワークシステムはテストの時間をもっととるべきではないか
と質しましたが、この時点では「内閣官房と検討中」との回答でした。
 その後3月17日に総務省と内閣官房は「マイナンバーカード利活用推進ロードマップ等」4を発表し、その中で今後のスケジュール(案)を示しました。それによると7月中に試行運用をはじめ10~11月に本格運用開始となっています。
 情報連携の開始は私たちの行政手続きに大きく関わりますが、政府はいつどのように始まるのか、まったく市民に説明していません。そこで参議院議員福島みずほ事務所を介して4月27日に総務省に文書質問5をし、5月14日に回答をうけました。

2.総務省は、運用開始の「延期」ではなく7月から「試行運用」と説明

 総務省個人番号企画室からは以下の説明とともに、地方公共団体や関係府省宛の4月21日付の内閣府・総務省連名の通知文書が資料として提供されました6 7
 説明によると運用開始期日は現時点で平成29年7月18日を想定しているが、最終的な決定期日については別途通知することになっているとのことです。  なお私たちが質問状で「延期」と書いたことに対して、正確には「試行運用」を7月から3か月間程度行い、その後「本格運用」を開始することとしており、「延期」という言い方はしていないとの注釈がありました。  この「試行運用」については、以下の説明がされています。
「試行運用」においては、引き続き現在と同様に、申請者(市民の皆様)から添付書類の提出をいただき、情報提供ネットワークシステムにより取得した情報による事務処理と、当該添付書類による事務処理との齟齬がないかを確かめながら事務処理を進めることとしております。
 つまり、情報連携のシステム自体は当初の予定通り7月から稼働開始する一方、市民の皆様との関係では、引き続き3ヶ月程度は添付書類をお持ちいただく、ということになります。
 これは、窓口職員の事務習熟期間等を設けることで、いきなり情報連携に全面移行することにより起こる可能性のある窓口の混乱を避け、ひいては市民の皆様に迷惑がかかることのないようにという観点も踏まえての「試行運用」ですので、ご理解いただけると幸いです。
 なお総務省・内閣官房連名の通知文によれば、この「試行運用」も番号利用法に基づく情報連携であることに変わりなく、情報提供等記録はマイナポータルによる記録の表示や個人情報の開示請求の対象になるとされています。

3.混乱必至?の「試行運用」

 情報提供ネットワークシステムは世界に例をみない仕組みです。1億人を超える人口でこのような巨大で複雑なシステムを運用している国はなく、なにが起きるかはやってみないとわかりません。性急にスケジュール優先で進めたマイナンバーカードの交付がシステムトラブル等で大混乱したことを考えれば、十分なテスト期間をとるのは当然で私たちもそれを求めました。
 しかし従来どおりの添付書類の提出と情報連携を並行して行う「試行運用」はわかりにくく、窓口では混乱が予想されます。
 たとえば、自治体も関係省庁も7月本格運用開始の予定で準備を進めてきたため、すでに本年度の申請手続きなどを住民に周知している場合、いまからその変更を連絡することは困難です。また自治体や関係省庁は、添付書類による事務処理と情報提供ネットワークシステムを使った照会とを並行して事務を行わなければならず、二重事務の負担になります。さらに添付書類と情報照会の結果に「齟齬」があった場合に、どう対処するのかも課題です。「齟齬」がシステムに起因する可能性がある場合、その解決をしないまま情報提供ネットワークシステムで照会を続けることは危険です。
 試行期間中の、従来の添付書類による事務処理と、情報提供ネットワークシステムから得た情報による事務処理との関係という問題もあります。すでに法律上は情報連携が5月30日からはじまっているため、総務省・内閣官房の通知も「試行運用期間においては、各地方公共団体は番号利用法に基づき情報提供NWSを使用した情報連携による事務処理を行う必要がある」としています。番号利用法22条では、情報連携で情報が提供された場合は書面の提出があったものと見なす、と規定しているため、添付書類を提出させる法的根拠は何かという疑問が生まれます。
 住民にとっては、情報提供ネットワークシステムで情報を照会することになっているのになぜ添付書類も持参させるのか、と感じるでしょう。試行期間中に従来の添付書類を提出していただけない場合は、情報提供ネットワークシステムから得た情報だけで手続きを進めていいとなっているため、求めに応じて添付書類を取りよせて提出した人と、持参しなくても手続きできた人とで不公平感を抱くこともあるでしょう。
 逆に、添付書類と情報照会の結果に「齟齬」があることを想定して「試行運用」をしている状態で、情報提供ネットワークシステムから得た情報に誤りがあった場合はどうなるのでしょうか。

4.5月30日からの情報連携の施行は正しかったか

 このような問題が生まれるのは、情報連携の施行後に試行運用をしようとしていることが原因です。本来は情報連携の開始を延期し、従来の事務処理を続けながら、行政内部で情報提供ネットワークシステムによる照会のテストを行い、問題がないことを確認したうえで情報連携の開始日をきめて情報提供ネットワークシステムによる提供に移行すべきでした。
 スケジュール優先のマイナンバー制度導入により、新たな混乱が起きようとしています。情報連携の開始を前に、新たな課題も明らかになってきています8。これではたして7月から「試行」開始できるのでしょうか。  

continue »「情報連携はどうなるのか(2) 課題山積の情報連携」


Note

*1:このサイト内の » 総務省に、市町村から事業者へのマイナンバー通知等を質す 参照

*2:たとえば、ここでは、内閣府 »「マイナンバー概要資料 平成28年8月版」 20ページからの抜粋参照。内閣府による「マイナンバー概要資料」は毎年数回更新されている。「平成28年8月版」はインターネット上で検索するのはすでに困難だが、散見される旧バージョンの多くも、2017年1月運用開始としている。

*3:» 「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部の施行期日を定める政令」

*4:総務省・内閣府 »「マイナンバーカード利活用推進ロードマップ等」 およびここに収録されている »「今後のスケジュール(案)について」参照

*5:共通番号いらないネットがまとめた »総務省への質問の全文

*6:»情報提供ネットワークシステムの運用開始について(自治体宛)、および»「H29.7情報連携対象とする事務手続一覧」(2ページ2行目の「別添資料」)

*7:»情報提供ネットワークシステムの運用開始について(各府省宛)

*8:»「情報連携はどうなるのか(2) 課題山積の情報連携」(この記事の続き)参照

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