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post by nonumber-tom at 2017.11.6 #203
地方税情報の連携にNO! キャンペーン 地方税関係情報 アクションシート

Q&A「提供しません」「地方税情報の連携にNO」を!
[1]「地方税関係情報」ってなにですか?

 共通番号いらないネットは、「地方税関係情報」について、「情報連携No!」の意思表示をするキャンペーンを展開しています。でも「地方税関係情報」っていったい何なのでしょうか? 「本人同意」がなければ「情報連携ができない」とはどういうことなのでしょうか? »Q&Aのもくじはこちら

「地方税関係情報」ってなに?

なぜ地方税関係情報の提供には、
本人同意が必要なのですか?
「地方税関係情報」は、
主として社会保障の給付や保険料の減免を受ける際に使われます
 税金には、国に納める国税と、自治体に納める地方税があります。地方税は地方税法や各自治体の条例により課せられる税金で、都道府県民税や市民税、固定資産税、事業税などの直接税と、たばこ税などの間接税があります。
 「地方税関係情報」とは、「地方税の税額とその算定の基礎となる事項に関する情報」と、番号法の別表第二で説明されています。主に社会保障の給付、保険料の減免を受ける際に、所得を判断する資料として提供されます。

番号法制定当初から、地方税関係情報の「提供」における本人同意は、課題だった
 番号法では、情報提供ネットワークシステム1で提供が認められている事務では、情報の照会を受けた場合に個人情報を提供しなければならないと、情報の保有機関に提供を義務づけています。
 一方、地方税法第22条では、地方税事務に関する情報について地方公務員法より重い守秘義務を課しています(地方税法では2年以下の懲役または100万円以下の罰金、地方公務員法では1年以下の懲役または3万円以下の罰金)2
 これは円滑な課税を行ううえで必要な納税者の協力を得るためには、所得等の情報を他に漏らさないという信頼関係が必要だからです。税務情報は課税・徴税のために集められ管理されている情報であり、それを社会保障の費用徴収や給付の際に所得を判断する情報として利用するのは、本来は目的外利用です。
 この地方税法が求める守秘義務と、番号法による提供義務の関係をどう調整するかは、番号法ができた時(2013年5月成立)から課題でした。

法律上の提供義務が明記されていなければ、本人同意が必要
 2013年に総務省が自治体に説明した資料3では、
  1. (a) 利用事務の根拠法律に行政に報告する義務が規定されている場合
  2. (b) 申請に基づく事務で本人同意がある場合
は、情報提供ネットワークシステムで提供しても地方税法上の守秘義務違反にはならないと説明しています。同様の内容は、総務省が自治体に示した「番号制度の導入ガイドライン」4にも記されています。
 つまり地方税関係情報について法律上の提供義務が明記されていない場合は、本人同意がないと自治体は提供できないと国は解釈してきました。しかしこの本人同意の取得については「法令で規定予定」とされながら、法令は規定されないままでした。  

本人同意が必要とされるのは、
どのような行政事務ですか
本人同意を規定した告示が、情報連携実施直前に公布された
 情報連携の開始直前の2017年5月29日になってやっと、番号利用法の情報連携対象事務のうち地方税関係情報の提供に本人同意が必要な事務の告示が公布され、翌日施行されました。
 この告示では、番号法第19条第7号の規定に基づき次の各号に掲げる事務について情報を提供するときは、提供について本人の同意を得なければならないと規定し、事務が列挙されています5。ただ告示をみても、私たちには具体的にどのような事務なのか理解は困難です。

たびたび変わった告示の内容
 この告示について国は2017年1月に、121事務について本人同意が必要とする告示案を示していました。
 2017年4月19日には86事務について本人同意を必要とする告示案がパブリック・コメントにかけられ、5月29日に告示が公布されました(翌日施行)6
 その後6月30日には、この告示の改正がパブリック・コメントの結果公示案件詳細に掲載され、66事務が列挙されています。ただ意見募集は行われていません7
 さらに7月14日に、この告示の改正がパブリック・コメントの結果公示案件詳細に掲載され、67事務になっています。これも意見募集は行われていません8

自治体の条例利用事務では、すべて本人同意が必要
 自治体の条例による独自利用事務を情報連携するためには、個人情報保護委員会の規則に従う必要があります。
 2016年12月15日付の平成28年度個人情報保護委員会規則第五号の第2条4では、独自利用事務では地方税関係情報は、提供を求めることについて本人の同意がない場合は、提供ができないことが規定されています9
 つまり条例による独自利用事務では、すべて本人同意がないと、情報提供ネットワークシステムで地方税関係情報の提供はできません。
具体的には?
2017年11月2日に公表された情報連携事務の一覧の中で
「本人同意」が必要な事務が示されました
 内閣府は、2017年11月2日に情報連携可能な事務手続の一覧を公表しました10
 この行政事務一覧の「事務手続名」の欄に【本人同意要】となっているのが、住民税関係情報の提供で本人同意が必要と国が判断している事務です。
 自治体に対しては、都道府県または市町村が照会を行う行政事務で本人同意が必要な一覧表が示されています11

どのような手続き(行政事務)で本人同意が必要か
 この一覧では地方税関係情報を提供する場合に、以下のような行政事務で本人同意が必要としています。
  1. ・児童入所施設措置費用の徴収
  2. ・療育給付費用の徴収
  3. ・予防接種の健康被害救済給付の請求・審査・支給・変更や費用徴収
  4. ・生活保護の実施・審査・停止廃止
  5. ・生活保護費の返還徴収
  6. ・公営住宅入居者決定
  7. ・特別支援教育就学奨励費
  8. ・改良住宅入居者決定
  9. ・母子父子寡婦貸付の償還
  10. ・高等職業訓練促進給付金
  11. ・養育医療費用徴収
  12. ・特定優良賃貸住宅入居
  13. ・中国残留邦人等支援給付の実施
  14. ・介護保険の地域支援事業の要件確認
  15. ・感染症予防法の入院患者医療費
  16. など

説明抜きで行われている、「必要」から「必要がない」への変更
 当初2017年1月の告示案の時点では、健康保険や国民健康保険、厚生年金、国民年金、介護保険など広範な手続で、「提供」に対する本人同意が必要となっていましたが、現在は「必要がない」に変わっています。
 国は、情報照会(自治体からの「提供」)を行う事務の根拠法令に、本人に対する質問検査権およびそれに応じない場合の担保措置(罰則等)が規定されている場合以外は、「本人同意が必要」と説明していますが、どういう理由で当初の121事務から減らされているのか、説明はありません。
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Note
◯資料
「番号法」および「地方公共団体における番号制度の導入ガイドライン(平成25年8月)」抜粋

◯注
*1 情報提供ネットワークについては、このQ&Aの »「[4] そもそも情報連携や情報提供ネットワークってなに?」 を参照。
*2 地方税法と地方公務員法の守秘義務違反の罰則

◯地方税法

第二十二条(秘密漏えいに関する罪)

地方税に関する調査(不服申立てに係る事件の審理のための調査及び地方税の犯則事件の調査を含む。)若しくは租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律(昭和四十四年法律第四十六号)の規定に基づいて行う情報の提供のための調査に関する事務又は地方税の徴収に関する事務に従事している者又は従事していた者は、これらの事務に関して知り得た秘密を漏らし、又は窃用した場合においては、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

◯地方公務員法

第三十四条(秘密を守る義務)

職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。

第六十条(罰則)

左の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。

二 第三十四条第一項又は第二項の規定(第九条の二第十二項において準用する場合を含む。)に違反して秘密を漏らした者

*3 »「平成25年度全国担当者説明会・研修会資料」

64ページ 資料1-4「社会保障・税番号制度と住基ネット等について(総務省自治行政局住民制度課)」の20頁(全体の86頁)「地方公共団体における番号制度の導入ガイドライン(地方税務システム)のポイント<第2章第2節③>」参照

*4 »「地方公共団体における番号制度の導入ガイドライン(平成25年8月)」

第2章 番号制度に対応したシステム構築について 104~108頁

*5 »「○行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第十九条第七号の規定により地方税関係情報を照会する場合に本人の同意が必要となる事務を定める告示(平成二十九年五月二十九日内閣府・総務省告示第一号)
*6 »「パブリックコメント:結果公示案件詳細」

「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律別表第二の主務省令で定める事務及び情報を定める命令第六十条の規定に基づき内閣総理大臣及び総務大臣が定める事項案」に係る意見募集の結果について(案件番号 095170470)

*7 »「パブリックコメント:結果公示案件詳細」

行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第十九条第七号の規定により地方税関係情報を照会する場合に本人の同意が必要となる事務を定める告示の一部を改正する件(案件番号 095170780)

*8 »「パブリックコメント:結果公示案件詳細」

行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第十九条第七号の規定により地方税関係情報を照会する場合に本人の同意が必要となる事務を定める告示の一部を改正する件(案件番号 095170830)

*9 »「平成28年度個人情報保護委員会規則第五号」
*10 »「本格運用開始時点において情報連携可能な事務手続の一覧及び省略可能な書類」
*11 »「同意が必要な事務手続一覧表」

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