マイナンバーはいらない

post by nonumber-tom at 2024.10.18 #383
マイナ保険証 ヒアリング 総務省 警察庁 デジタル庁 回答 携帯電話 本人確認

総務省に携帯電話契約時の
マイナンバーカード利用について質す

 2024年6月18日発表の「国民を詐欺から守るための総合対策」1 によって、マイナンバーカードがないと携帯電話取得や預貯金口座開設の際の本人確認ができなくなるのか、不安が広がっています。
 9月26日の総務省とのヒアリングでは、マイナンバーカードやICチップの読み取り以外の「非電子的な確認方法」も残す方向で検討していることが、総務省・デジタル庁・警察庁から回答されました。

 9月26日3時より、福島みずほ参議院議員事務所を通じて、携帯電話の契約時の本人確認にマイナンバーカードを利用する問題について、総務省にヒアリングを行いました。当日は、総務省、デジタル庁、警察庁より説明を受けました(「総務省への質問事項」2 参照)。

[1]携帯電話取得等の際の本人確認について

質問事項と回答要旨

 2024年6月18日、犯罪対策閣僚会議の「国民を詐欺から守るための総合対策」が、携帯電話取得等や預貯金口座開設の際の本人確認を、非対面(オンライン)ではマイナカードの公的個人認証に原則一本化し、対面(窓口)でもマイナカード等のICチップの情報の読み取りを義務付ける方針を明らかにした。
 詐欺対策は必要だが、マイナンバーカードが携帯電話の取得や口座開設に必須となれば、所持しない市民の社会生活が困難になり、マイナンバーカードによらない確認方法を残す必要がある。総務省有識者検討会(ICTサービスの利用環境の整備に関する研究会)の6月20日の「不適正利用対策に関するWG中間とりまとめ(案)」3 でも、見直しの方向性として「例外的な確認方法としての非電子的な確認方法の存置」とされている。
スライド
質問マーク

(1) 今後の見直しの検討予定を明らかにされたい

回答マーク ■(総務省総合通信基盤局電気通信事業部)令和6年6月21日に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」で示しているとおり、関係省庁と関係省令の検討をしており、本年度中にパブリックコメントを実施する予定。
質問マーク

(2) 「非電子的な確認方法の存置」が必要と考える理由を説明されたい。

回答マーク ■(総務省電気通信事業部)本人確認書類の券面の偽変造が携帯電話の不正契約で相次いでおり、こうした携帯電話が犯罪によく用いられることから、券面の目視による本人確認ではなく、電子的な方法による本人確認を義務付けることとしている。非対面においては、書類の画像を送信するなど本人確認書類を送付する方法の廃止することとしている。
 一方、ICチップ付きの本人確認書類をお持ちでなく、電子的な本人確認を受けられない方はもちろん想定されるので、携帯電話という国民にとって身近で重要なツールの契約であることから、ICチップ付きの本人確認書類をお持ちでない場合などにおいて、代替的な手段として非電子的な確認方法が必要であると認識している。
質問マーク

(3) 対面におけるマイナンバーカードによらない本人確認方法として、松本総務大臣や河野デジタル大臣は6月25日の記者会見で、例として運転免許証や在留カードのICチップの読み取りをあげているが、それでは運転免許証や在留カードを持てない人はマイナンバーカードしか選択肢がない。「非電子的な確認方法」として検討している方法を示されたい。

回答マーク ■(総務省電気通信事業部)非対面の確認方法としては、住民票の写しなど改ざん対策が施された本人確認書類の原本送付を受ける方法とか、本人確認書類記載の住所に宛てて転送不要の郵便物を受け取る方法をひき続き認めることを検討している。その他の方法についても、昨今の不正契約や犯罪への悪用の状況を踏まえつつ、警察庁とも連携して検討を進めている。
質問マーク

(4) 有識者検討会においては「非電子的な確認方法」の利用について、あくまで例外的な確認方法としてやむを得ない場合に限り補充的に利用する意見が出されているが、マイナンバーカードの所持を任意とする番号法を踏まえ利用を制限すべきではないと考える。見解を示されたい。

回答マーク ■(総務省電気通信事業部)総務省の不適正利用対策に関するワーキンググループにおいて有識者の方から指摘の意見をいただいたが、総務省としてはワーキンググループでいただいた意見や本日皆さまからいただく意見を踏まえながら丁寧に検討をすすめていきたい。
質問マーク

(5) 公的個人認証の電子証明書の格納媒体がマイナンバーカードに限定されている現状では、非対面における本人確認方法を公的個人認証に一本化することは、マイナンバーカードの所持を任意とする番号法に反しないか。「原則」の例外としてどのような方法を検討しているか。電子証明書の格納媒体をマイナンバーカード以外に広げることや、民間の電子証明書の利用、「依拠」による方法などを検討すべきではないか。

回答マーク ■(総務省電気通信事業部)指摘の民間の電子証明書の利用については、現行の携帯電話不正利用防止法の施行規則においても、公的個人認証のほかに電子署名法の認定認証事業者の作成した電子証明書を用いた本人確認を認めている。これに加え電子証明書を用いた本人確認の方法以外にも、非対面においてはマイナンバーカードや運転免許証のICチップを読み取る方法や住民票の写しを送る方法も、ひき続き認めることを検討している。この他の方法についても、昨今の不正契約や犯罪への悪用の状況を踏まえつつ警察庁とも連携して丁寧に検討を進めていきたい。
質問マーク

(6) 現行の「携帯電話不正利用防止法」では健康保険証も本人確認書類として認められているが、「資格確認書」も健康保険証と同様に扱う予定か。

回答マーク ■(総務省電気通信事業部)現行の携帯電話不正利用防止法施行規則においては、健康保険証を本人確認書類として認めている。改正番号法の施行により本年12月に被保険者証の新規交付がなくなる予定であるところ、資格確認書の使用について犯罪への悪用状況を踏まえながら原則認める方針で検討をすすめている。

回答を受けての質疑要旨

質問マーク ●携帯電話はマイナンバーカードがないと取れないという報道がされて、そう思い込んでいる人が多い。総務省・デジタル庁・警察庁とも、以下の説明で間違いないか。  
  • ●マイナンバーカードではなく、またICチップの読みとりではない非電子的な確認方法も残す。
  • ●非電子的な確認方法として、住民票写しの原本の提出とか転送先不要の郵便物などを残す。
  • ●非電子的な確認方法を残すことについて、有識者検討会では限定的な意見もあったが、困る人がでないようにしていきたい。
  • ●本年度中にパブリックコメントを実施予定する。  
回答マーク ■指摘のとおり。非電子的な確認方法も、今回の意見も踏まえながら有識者検討会で検討していく予定。
質問マーク ●携帯電話の新規申込でKDDIは、マイナンバーカードでないと本人確認を認めないとしている。実際にスマホを買い換えようとしたら、マイナンバーカードを作ってくれと言われ断られ、やむなく取得して購入後に返納した。昨年のヒアリングでも求めたが4、任意であるマイナンバーカードがなければ手続きできないという事態が起きないように、総務省から通知などで指導を。
回答マーク ■現行の法令上ではマイナンバーカード以外の確認方法も認められている。指導は法令上の根拠が求められるが、困るという実態は認識する。いただいた御意見をしっかり踏まえて、事実を把握したうえで必要に応じて対応していきたい。

[2]マイナンバーカードの偽造、誤交付、成り済まし不正取得等の状況

質問事項と回答要旨

 偽造マイナンバーカードによる携帯電話の不正取得が詐欺対策の必要性として報じられているため、以下を説明されたい。
質問マーク

(1) 昨年度、総務省が把握している偽造の件数と内容は?

回答マーク ■(総務省マイナンバー制度支援室)マイナンバーカードの交付を所管している立場から。偽造のカードの多くは交付されていないものが多く、その場合は交付されていないのでわからない。総務省として偽造カードを網羅的に把握する立場にないということもあり、我々から回答できる内容ではない。
質問マーク

(2) マイナンバーカードの誤交付について、昨年9月28日のヒアリングでは令和5年度に4団体4件を確認していると説明されたが、今年3月29日に総務省はマイナポイントの誤紐付け事案のなかで、マイナンバーカード交付誤りによるものを3件と公表している。過去の各年度の誤交付件数を示されたい。

回答マーク ■(総務省マイナンバー制度支援室)令和5年度に把握しているのは5団体5件。令和6年度は現時点で2団体2件。
質問マーク

(3) マイナンバーカードの不正取得事案として、一昨年は埼玉県ふじみ野市、昨年は新潟県新潟市や上越市、今年は大阪府などで逮捕が報じられているが、2016年の交付開始以降の総務省の把握している成りすまし不正取得の件数とその事例の概要。

回答マーク ■(総務省マイナンバー制度支援室)指摘されているような報道は承知しているが、総務省は不正の取得・利用について網羅的な把握はできない立場。総務省として正式に把握しているのは、先ほどの埼玉県ふじみ野市5があり、概要は他人名義のマイナンバーカードの申請を本人に成りすまして行った事案。
質問マーク

(4) 河野デジタル大臣は6月8日に、令和5年度に特殊詐欺に利用された携帯電話の契約時の本人確認書類が把握されている619回線のうち、マイナンバーカードが本人確認書類として使われたのが23回線で、そのうち偽造カードが使われたのは1回線とSNSに書いている。総務省が把握されているデータを示されたい。

回答マーク ■(警察庁刑事局 刑事企画課)警察庁の捜査支援分析管理官が都道府県警察に報告を求め集計した結果が指摘の数字。

回答を受けての質疑要旨

質問マーク ●マイナンバーカードの不正取得や偽造の全体状況をどこも把握・分析しないまま、「国民を詐欺から守るための総合対策」でマイナンバーカードによる本人確認をという議論になっているのか。
回答マーク ■(総務省マイナンバー制度支援室)自治体が誤って違う人に交付したことには、適正な事務について助言している。偽造については、今年5月にマイナカードの券面やICチップの偽変造対策のポイントを各省庁に示している。
回答マーク ■(警察庁刑事局 刑事企画課)マイナンバーカードの偽造は、一般的には公文書偽造罪等に該当する可能性があるが、統計上は公文書偽造罪の件数しか把握していない。
回答マーク ■(デジタル庁)デジタル庁はマイナンバーカードの利活用の部署が出席している。デジタル庁には各部署があるが、関係省庁と引き続き連携しながら検討していきたい。

[3]電子的確認のためのマイナンバーカードのICチップ読み取りについて

質問事項と回答要旨

 8月20日リリースされたアプリ6 は、利用規約によれば事業者を対象とし、ICチップ内に書き込まれた基本4情報(住所、氏名、生年月日、性別)及び顔画像を読み取ることにより、マイナンバーカードの真贋判定を行うためにのみ利用することができるとされている。
質問マーク

(1) マイナンバーカードの真贋判定のためなら性別は不要だと考えるが、なぜ2024年6月2日成立の改正番号法によりカード券面から性別を削除したにもかかわらず性別の読み取りを行うのか。

回答マーク ■(デジタル庁事前回答)真贋判定については現在の券面情報を表示させたうえで、真贋の判定を行う必要があると考えております。

■(デジタル庁当日説明)2024年5月31日成立の改正番号法によるマイナンバーカード券面からの性別の削除は、次期マイナンバーカード導入についてのもの。アプリは改正番号法にそったものというより、現在の券面情報に対応したもの。性別は次期マイナンバーカードでICチップに入れ券面から削除する。
質問マーク

(2) 利用は事業者を対象としているが、本人確認が法的に求められている事業者以外のダウンロードや利用はどのように制限されるか。

回答マーク ■(デジタル庁事前回答)ダウンロード自体は制限されておりません。
質問マーク ●(当日の質問:口頭)利用は事業者としているのに、ダウンロードはだれでもでき、個人が悪用できる。なぜ制限しないのか。利用規約に反してダウンロードして使った場合はどうなるのか。
回答マーク ■(デジタル庁当日説明)利用規約で利用条件や利用者の責任や禁止事項を定めており、そこで事業者に法で定める個人情報保護に準じた対応を求めている。規約で罰則規定はないが、管轄裁判所として東京地裁が指定されており、トラブルがあればそちらで争っていただくことになる。
質問マーク

(3) 現在J-LISで配布している「個人番号カード対応版券面事項表示ソフトウェア」も性別の読み取りが可能となっている。法令等で性別の確認が必要な行政機関や事業者だけが性別を読取可能に改修すべきではないか。

回答マーク ■(デジタル庁事前回答)J-LISの「個人番号カード対応版券面事項表示ソフトウェア」では性別が表示されることを確認しております。

回答を受けての質疑要旨

質問マーク ●マイナンバーカードの性別は戸籍上の性別か。トランスの方とか戸籍と性自認が違うとか多様性がある。事務上の必要というが、パスポートとかさまざまな手続きでも性別を聞かれることが苦痛な方がいる。戸籍上の性別を記載して利用する意味があるのか?
回答マーク ■多様性の社会のなかでそのような意見があるかと思うが、現状は性別を把握するには事務上戸籍しかできない点もあり、マイナンバーカードも戸籍上の性別で対応している。
質問マーク ●事業者が何のために必要か。戸籍で男女の二分節で調べる必要はどういう場合か。
回答マーク ■事業者の判断もありケースを答えるのは難しいが、マイナンバーカードは広く本人確認で利用されることは望ましいと考えている。
問題マーク ●本人確認のためになぜ性別を残す必要があるか、検討を求める。  

[4]電子証明書の交付状況

質問事項と回答要旨

質問マーク

(1) マイナンバーカードの保有枚数は8月31日時点で、約9347万枚普及率約74.8%と発表されているが、そのうち有効な電子証明書の保有枚数を示されたい。

回答マーク ■(総務省)電子証明書は二種類あり、署名用電子証明書は令和6年度8月末で約7500万枚有効なものが保有されている。利用者証明用電子証明書については、約9100万枚ほど有効なものとして保有されている。
質問マーク

(2) マイナンバーカード交付開始以降の、電子証明書交付枚数の経過のわかる資料があれば示されたい。

回答マーク ■(総務省)直近令和5年度では、署名用電子証明書では1,400万枚、利用者証明証用は約1,060万枚が新しく交付されている。推移としては、ここ数年度はだいたい1,000万弱から3,000万、4,000万近く発行された年度もある。

回答を受けての質疑要旨

質問マーク ●今後、大量に更新が必要になるが、経年的なデータは公表されているのか、求めればそのデータは示してもらえるのか。
回答マーク ■5年間で更新だが、署名用電子証明書は引っ越しでも失効すため、将来の予測は難しいため示しているものはない。月ごとに有効なものが何万枚あるかというデータは、公表していないがデータとしてはある。

Note

*1 » 国民を詐欺から守るための総合対策 2024年6月18日、犯罪対策閣僚会議

*2 » 総務省への質問事項 共通番号いらないネット 2024年9月26日ヒアリング

*3 » 携帯電話不正利用防止法に基づく本人確認の見直しの方向性(案) 2ページ。総務省総合通信基盤局 2024年6月20日

*4 » 厚生労働省からの回答 マイナンバー制度・カードに関する 省庁ヒアリング 共通番号いらないネット 2023年10月14日

*5 » 市役所に来た男、マイナカードの顔写真と違う…職員気づく 読売新聞オンライン、2021年6月24日

*6 » 「マイナンバーカード対面確認アプリ」をリリースしました デジタル庁、2024年8月20日

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