総務省からの回答
マイナンバー制度・カードに関する 省庁ヒアリング
この報告第2回では、総務省の回答の要旨とそれに対する会場での質疑・発言などを紹介します。
私たちは厚労省に対して、マイナンバー情報総点検、申請時のマイナンバー記載の「義務化」、携帯電話の新規契約時の本人確認書類、新旧電子証明書のひも付け誤りなどについて説明を求めました。残るデジタル庁・個人情報保護委員会の回答については、第3回以降で報告する予定です。
【総務省からの回答】
1)マイナンバー情報総点検について
依頼は基本的には各所管省庁から自治体の各制度の所管に対してしている。デジタル庁からは自治体のマイナンバー担当部局に対して、総務省からは各自治体の総点検担当部局に対して、各制度所管官庁が発出している依頼を情報として送っている。
総務省サイト2 に「マイナンバーの紐付けに関する一斉点検」として掲載しているのは、総務省が所管省庁として自治体に点検をお願いしたもの。
各行政機関は従来、番号の利用事務では個人番号の記載を求めるが、本人の意思で記載されない場合は未記載でも受理し手続きは行うと説明してきた。その扱いに変わりがないことを確認したい。
また本人が記載した個人番号が本人のもので正しい番号かどうかの確認は、届書を受け付けた時点で行うのか、確認は誰がどのようにして行うのか、明らかにされたい。
また6月20日の総務大臣記者会見で、マイナポイントの誤紐付け事案の調査結果の中で、マイナンバーカードの誤交付が2件あったことが報告されているが5、誤りが発生した経緯と理由を説明されたい。
2)携帯電話の新規契約時等の本人確認について
しかしマイナンバーカードの所持は義務ではなく保有率は7割程度であり、運転免許証等は誰でも所持できるものではない。市民団体の質問に対して、A社は案内している書類は代表的なものでそれ以外での申し込みは問い合わせるようにと回答しているが、B社は案内している書類の提示がない場合は契約を受け付けられないと回答している。 重要な社会インフラとなっている携帯電話・スマホが所持できないと、市民生活の支障となる。マイナンバーカードや運転免許証等が提示できない場合に、健康保険証等の複数の書類を提示するなど事情に応じた本人確認方法を保障すべきだと考えるが、総務省として携帯電話事業者と本人確認書類について協議しているか、今後協議する予定があるか、説明されたい。
制度上、携帯電話不正利用防止法という特殊詐欺対策の法律があり、契約時の本人確認義務があり、確認書類として使用可能なものは施行規則に記載されている7。この中に健康保険証は現在も定められており、省令上は現在も本人確認書類して認められているが、省令では「使用することが可能な本人確認書類」を定めており、この全部を使わなくてはいけないということにはなっていない。各事業者でリスクを判断して、どの本人確認書類を使うか判断すると理解している。
質問の気持ちはよくわかるので、今の意見は意見として承って検討したい。
3)新旧電子証明書のひも付けの誤りについて
重複の原因として2022年7月15日の報道資料9 で、マイナポイントとひも付ける利用者証明用電子証明書が更新された場合にも、新旧の証明書を紐付け同一人物であることを確認しているが、市区町村において法律で想定されていない場面で証明書の失効を行うと、新たな証明書が発行されても新旧の証明書の紐付けが行われず、複数回の申込が可能となる事案が発生したと説明している。
「法律で想定されていない失効」については、署名用電子証明書が失効しても利用者証明用電子証明書の失効は行わないことになっているにもかかわらず、市区町村で利用者証明用電子証明書の職権失効をしたためと報じられている10。
この利用者証明用電子証明書の新旧ひも付けは、医療保険のオンライン資格確認等システムなどさまざまな仕組みで使われているため、以下を確認したい。
J-LISのシステムの中で電子証明書のシリアル番号の新旧を管理している。データベースに署名用電子証明書のシリアル番号と利用者証明用電子証明書のシリアル番号と個人をひも付けてデータ登録して電子証明書の更新等で別の電子証明書になった場合、ひも付いていないともう一度利用登録からやり直さなくてはいけない。そこで新旧のシリアル番号をひも付けをして、新しい電子証明書については過去にすでに登録した方の証明書であることを把握できるようにして、登録の二度手間を防いでいるもの。
令和4年9月14日の通知は、職権失効以外にも窓口で破棄して失効させるものがある、これはカードを使い始める前になんらかの理由でカードを使わなくなって失効させるもので、こういう失効についても適切な事務処理を、具体的にはカードの運用状況について扱いを徹底することをお願いしていたもの。
それとあわせてひも付けシステムについても、職権失効した場合もひも付けを行うように改修を行うことで、誤りが防止されている。
ポイントの付与や清算については、マイナポイントシステム上で個人に対するポイントの付与状況をすべて確認できるものではなく、総務省が個別の案件を追跡できるようになっていない。事業の終了時にマイナポイント事務局が決済事業者分をとりまとめて補助金の請求をすることによって確定する。
したがって清算結果が確定するのは、マイナポイント事業が完了して補助金の清算が完了する時点になるので、現時点でとりまとめを示すことはできない。
【回答に対する質疑と会場意見など】
マイナンバー情報総点検について
携帯電話の新規契約時等の本人確認について
新旧電子証明書のひも付けの誤りについて
*1 ヒアリングの予告詳細は » こちら を参照。すべての質問事項もPDFファイルで参照できます。
*2 総務省サイト »「マイナンバー制度」 のページ末尾参照。
*3 デジタル庁、第1回マイナンバー情報総点検本部 (2023 年6月21日)資料2 »「マイナンバーによる情報連携の正確性確保に向けた総点検について」
*4 » 地方公務員等共済組合法施行規則改正 パフリック・コメント結果資料
*5 » マイナポイントの誤紐付け事案の全自治体調査最終報告 (総務省報道資料 2023年6月20日)
*6 いらないネットwebサイト » 携帯電話3社への質問、同 » 携帯電話3社の回答
*7 携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律施行規則第5条で、外国人を除く自然人について本人確認書類は以下が列挙されている。
イ 運転免許証若しくは運転経歴証明書、在留カード、特別永住者証明書、個人番号カード、旅券等又は船舶観光上陸許可書
ロ 国民健康保険、健康保険、船員保険、後期高齢者医療若しくは介護保険の被保険者証、健康保険日雇特例被保険者手帳、国家公務員共済組合若しくは地方公務員共済組合の組合員証、私立学校教職員共済制度の加入者証又は自衛官診療証(いずれも氏名、住居及び生年月日の記載があるものに限る)
ハ 児童扶養手当証書、特別児童扶養手当証書、母子健康手帳、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳又は戦傷病者手帳(いずれも氏名、住居及び生年月日の記載があるものに限る。)
ニ 印鑑登録証明書、戸籍の附票の写し、住民票の写し又は住民票の記載事項証明書
ホ イからニまでに掲げる書類のほか、官公庁から発行され、又は発給された書類その他これに類するもので、氏名、住居及び生年月日の記載があり、写真があるもの
ヘ イからホまでに掲げる書類のほか、官公庁から発行され、又は発給された書類その他これに類するもので、氏名、住居及び生年月日の記載があるもの
*8 » マイナポイントの複数申込事案の調査結果(総務省報道資料 2022年9月13日)
*9 » マイナポイントの複数申込への対応(総務省報道資料 2022年7月15日)
*10 » マイナポイントの重複申請500人超 政府はなぜ見逃したのか(朝日デジタル 2022年9月13日)
*11 »「利用者証明用電子証明書の新旧シリアル番号の紐付け実現について(イメージ)」 総務省提供
*12 デジタル庁 » 「電子証明書が失効する場合とその対応」