マイナンバーはいらない

post by nonumber-tom at 2024.12.8 #387
協会けんぽ回答 マイナ保険証 登録解除 資格確認書 資格情報のお知らせ 質問書 健康保険証 交付 発行停止 健康保険証廃止

マイナ保険証についての質問書に
協会けんぽが、2カ月かかってやっと回答
(回答全文とコメント)

 2024年12月1日に健康保険証の交付が終了しました。いまある健康保険証は今後も最長1年間使用できますが、健康保険証に代わる「資格確認書」の交付やマイナ保険証の利用登録解除などについて、政府や保険者があまり宣伝しないために不安が広がっています。そこで加入者4,000万人の協会けんぽ(全国健康保険協会)に、2024年9月30日に質問書を送ったところ、12月3日にやっと回答がありました。

もくじ

» 2回催促して2カ月かかってやっと回答(回答までの経過)

» 質問事項と、送付された回答

» 協会けんぽ回答へのコメント(解説)

2回催促して2カ月かかってやっと回答(回答までの経過)

 中小企業雇用者中心に加入者4,000万人の協会けんぽに、9月30日、次の4点の質問を配達証明で郵送しました1。2024年10月1日に配達されています。

 [1]「資格情報のお知らせと加入者情報」について

 [2]「資格確認書」について

 [3]マイナ保険証の利用登録解除について

 [4]マイナ保険証のトラブルへの対応について

 10月12日までの回答を求めましたが、協会けんぽからはまったく連絡がありませんでした。そこで10月24日に質問への対応を確認するため、東京四谷の協会けんぽ本部を訪問しました。質問書が収受されていることは確認できましたが、応対者からは担当部署が不在なのでなにも答えられないという対応で、数日内に扱いについて連絡するよう求めました。
 しかしその後もまったく連絡がなく、11月11日午後、再び協会けんぽ本部を訪問しました。今回は担当者が応対し、10月24日以降連絡していないことを詫びながら、質問内容が多部署にわたるので自分がとりまとめて10日以内に回答するとの返事でした。
 すでに質問した事項が実施されはじめており、できるだけ早く回答するよう求めましたが、その後も連絡がありませんでした。そこで12月2日に担当者に電話したところ不在で、翌日に以下の回答がメールで送られてきました。
 政府は健康保険証の交付終了にともなう私たちの不安に対して、丁寧に説明すると言っていますが、これでは丁寧な説明がされているとは言えません。
 質問に答えていない所もありますが、回答全文を紹介します。

質問事項と、送付された回答

提出した質問書の全文は、 » こちら を参照
協会けんぽの回答全文をPDFでダウンロード » こちら

[1]「資格情報のお知らせと加入者情報」について

質問 1) 令和6年12月2日以降の受診方法としてマイナ保険証を使う3種と「健康保険証」の4つが記載され、「資格確認書」はその他として小さく記載されています。「資格確認書」の説明がないために、このお知らせが「資格確認書」と誤認されています。なぜ「資格確認書」の説明をしていないのですか。
回答 1)「資格情報のお知らせと加入者情報」に封入するチラシを作成当時、協会として加入者の皆様にマイナ保険証の利用をお願いしたい観点と、資格確認書の発行事務等について検討段階であったことから、健康保険証と並列でご案内することとしました。
質問 2) マイナ保険証の登録をしていない加入者には資格確認書が送付され、「資格情報のお知らせ」は不要なはずです。なぜ全加入者に「資格情報のお知らせ」を送付するのですか。
回答2)令和6年1月9日付事務連絡「被保険者等への加入者情報等の送付について(依頼)」に基づき、全ての加入者あて送付しております。
質問 3) マイナンバーの下4桁が記載されています。マイナンバーの提供ができる場合は番号利用法19条に限定列挙されていますが、今回の通知はどの条文に該当しますか。
回答 3)令和6年1月9日付事務連絡において、「個人番号の下4桁は、それのみをもって行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第2条第5項及び第8項に規定する個人番号そのものに該当しない」との回答がされています。
質問 4) マイナンバーを把握できない場合、オンライン資格確認等システムには登録されないと理解してよいですか。
回答 4)保険者において、マイナンバーの把握ができない方については地方公共団体情報システム機構(J-LIS)に照会を行いマイナンバーの取得を行います。マイナンバーを取得できなかった方については、オンライン資格確認等システムに登録されません。

[2]「資格確認書」について

質問 1) 健康保険証の利用期間が最長1年間あるとはいえ、今年12月2日以降は転職退職等で失効すると直ちに資格確認書が必要になります。いつ加入者に周知する予定ですか。
回答 1)令和6年10月以降順次事業所・加入者向けに広報を実施しています。
質問 2) 資格確認書の有効期間は5年以内で保険者が定めるとされています。協会けんぽでは有効期間をどのように設定しますか。またその理由は何ですか。
回答 2)加入者に安心して医療機関を受診していただきたいとの考えのもと、有効期限は4年から5年の範囲で設定しています。
質問 3) 資格確認書の交付対象は、マイナ保険証を使用できない状況にあると判断した方とされています。具体的にどのような方を対象としていますか。
回答 3)交付対象者は、マイナンバーカードを取得していない方、マイナ保険証の利用登録をしていない方、マイナンバーカードを返納した方、マイナ保険証の利用登録を解除した方、マイナンバーカードの電子証明書の有効期限が切れた方及び家族や介助者等が同行して資格確認を補助する必要がある方等です。
質問 4) 厚労省は2023年12月22日事務連絡「資格確認書の様式等について」で、本人の申請による資格確認書の交付が想定される者として、「マイナンバーカードを紛失した者、更新中の者」と「介助者等の第三者が要配慮者に同行して資格確認を補助する必要があるなど、マイナ保険証での受診が困難な場合 等」をあげています。
 マイナンバーカードの紛失や更新をどのように確認しますか。また「受診が困難な場合」をどのように確認し、交付対象として決定しますか。
回答 4)マイナンバーを紛失した方及び「受診が困難な場合」については、加入者ご本人からの申出によって把握します。
質問 5) 子どもにマイナンバーカードを持ち歩かせることには不安があり、2024年秋以降は申請時に1歳未満の場合は顔写真が不要で暗証番号での利用が必要になります。保育園・幼稚園・学校での怪我や校外学習・修学旅行ではマイナ保険証の利用は困難で「資格確認書」も必要との声がありますが、交付対象としますか。
回答 5)交付対象としません。令和6年11月26日付事務連絡「「資格確認書の様式等について」の一部改正等について」において、「就学旅行等の学校の行事や部活動の合宿・遠征等において、児童・生徒本人がマイナンバーカードを持参するのが容易でない場合、数日間の限られた使用であることや、学校教員等の管理監督下での使用が想定されることから、マイナポータルに表示される被保険者資格情報のPDFファイルをダウンロードしたものやその印刷物、資格情報のお知らせ又はその写しを医療機関・薬局に提示するといった方法により、資格確認を行う事が可能」とされています。
質問 6) マイナ保険証の利用率の低迷に示されているように、マイナ保険証利用登録をしていても持ち歩き使用することに多くの市民が不安を感じています。不安が解消されるまで、マイナ保険証を登録していても「電子資格確認を受けることができない状況にある」と認めて、申請により資格確認書を交付すべきではありませんか。
回答 6)マイナンバーカードの安全性や、マイナ保険証で医療を受診するメリットについて、事業主や加入者の皆様に対して引き続き周知広報を行い、マイナ保険証の利用を促進していきたいと考えています。
質問 7) 厚労省の2023年12月22日事務連絡では、本人の申請によらない交付(職権交付)の対象者として、マイナ保険証登録をしていない者のほか、マイナンバーカード(電子証明書)の有効期限切れや返納者を例示しています。マイナンバーカードの返納や電子証明書の有効期限切れを、どのように把握しますか。また返納や有効期限切れのあと、資格確認書が交付されるまでどれくらいの期間を想定していますか。
回答 7)マイナンバーカードの返納者や電子証明書の有効期限切れ等の把握は、医療保険者向け中間サーバーから提供される対象者リストにより把握を行います。交付されるまでの期間は、最大で50日程度必要です。

[3]マイナ保険証の利用登録解除について

質問 1) 協会けんぽ加入者のうち、マイナ保険証の利用登録者は何%ですか。
回答 1)国全体における令和6年10月のマイナ保険証登録率は82%です。
質問 2)10月中に利用登録解除が始まる予定ですが、いつから申請を受け付けますか。
回答 2)10月22日より受付を開始しています。
質問 3) マイナ保険証の利用登録解除は全加入者、少なくとも利用登録者全員に周知する必要があります。いつ、どのように周知する予定ですか。
回答 3)現在ホームページにて周知を行っています。
質問 4) 利用登録解除申請は、事業主経由では雇用関係への配慮から申請が困難になるおそれがあると指摘されていますが、協会の本部・支部で受け付けますか。
回答 4)協会各支部にて受付を行っています。

[4]マイナ保険証のトラブルへの対応について

質問) 医療機関では保険資格が正しく表示されないために、患者とのトラブルが多数発生しています。会計検査院は2024年5月15日の「マイナンバー制度における地方公共団体における情報照会の実施状況について」報告で、その一因として被用者保険の登録に時間を要し(協会けんぽは喪失で19日、取得で29日)、その原因として協会けんぽでは事業主が日本年金機構に届出て審査後に協会けんぽに情報連携する仕組みを指摘しています。
 厚労省は登録の迅速化を求めていますが、この仕組みの改善はされていますか。
回答) 協会の加入者にかかる資格取得及び喪失事務については、健康保険法第204条において、日本年金機構に委任されているところです。
 また、健康保険法施行規則第24条及び第29条により、事業主は資格取得及び喪失にかかる保険者への届出を、当該事実のあった日から5日以内とされており、また、保険者は健康保険法施行規則第24条の4において、事業主による届出から5日以内でのデータ登録を行うこととされています。
 協会においては、事業主の届出より5日以内のデータ登録を行っています。

協会けんぽ回答へのコメント

[1]「資格情報のお知らせと加入者情報」について

 回答 2) で説明されている令和6年1月9日付の厚生労働省の事務連絡については、資料として提供するよう依頼しています。
 なお全国国民健康保険組合協会のニュース2 に、同事務連絡が掲載されています。  
 
 回答 3) では、マイナンバーの下4桁を通知することについて、令和6年1月9日付事務連絡では個人番号(マイナンバー)そのものには該当しないが、個人番号の一部を切り出したものであることから安全管理措置を講ずる必要があるため、「念のため特定記録郵便により送付することを原則」とするよう求めています。マイナンバーの提供は番号法19条で制限列挙した事由のみ認められていますが、今回の通知はその事由には該当しないということです。該当しなくても、マイナンバーを分解すれば提供できるとするのは、脱法行為ではないでしょうか。  
 
 また 回答 4) で、協会けんぽがマイナンバーを取得できなかった方については、オンライン資格確認等システムには登録されないことが明記されています。  

[2]「資格確認書」について

 質問時点では明らかにされていませんでしたが、現在協会けんぽはホームページ「今から使おう!マイナ保険証」3 で「資格確認書」について説明しています。そこに書かれていませんが、有効期限は4~5年で設定すると回答されています。資格確認書の有効期限は5年以内とされており、もともとの健康保険証では有効期限はなかったので妥当な設定です。
 健康保険組合の中には有効期限を3カ月に設定しているところもあるようですが4、これでは資格確認書の有効期限を5年以内とした趣旨に反します。
 
 質問 4)~6) は、資格確認書の交付対象者を聞きました。2023年の法改正で新設された健康保険法51条の3では、被保険者(私たち)が「電子資格確認を受けることができない状況にあるとき」は、保険者(協会けんぽ等)に資格確認書等の交付を求めることができ、保険者は速やかに交付するものとする、となっています。
 法律を素直に読めば、私たちがマイナ保険証を利用できないと思えば資格確認書の交付を申請でき、申請を受けると保険者は交付することになります。しかし厚労省は回答にあるように事務連絡で、保険者が交付する対象を限定しています。保険診療に不安が生じないよう、資格確認書の交付についてはさらに解明が必要です。
 
 回答 7) では、電子証明書の有効期限切れ等では資格確認書が交付されるまで最大で50日程度必要とされています。その間は医療機関等窓口で保険診療を受けられないことになりかねません。空白期間が生じないよう、健康保険証の有効期限が切れる前に、マイナ保険証の有無に関わらず資格確認書を交付すべきです(そうすれば「資格情報のお知らせ」を送付する必要がなくなります)。

[3]マイナ保険証の利用登録解除について

 質問時点では不明でしたが、現在、ホームページ「今から使おう!マイナ保険証」3 で、登録解除について回答のように周知しています。「解除申請書」はダウンロードできるようになっています。
 ただホームページに掲載しただけでは、加入者に伝わりません。加入者全員、少なくともマイナ保険証利用登録者全員に登録解除のお知らせをすべきです。

[4]マイナ保険証のトラブルへの対応について

 保団連(全国保険医団体連合会)が2024年8月~9月に行った調査では、厚労省がマイナ保険証のひも付け誤りは解消したとする2024年5月以降も、回答した12,735医療機関の7割でトラブルが報告されています5
 名前等が●で表示されるとか、カードリーダーのエラーなどのほかに、資格情報が無効と表示されるが47.8%、負担割合が違っていたが10.9%など、正しい資格情報が表示されないトラブルも少なくありません。オンライン資格確認等システムで正しい資格が表示されないのでは、欠陥システムです。厚労省がトラブルの実態調査をして、その原因を分析し明らかにして、システムの改善を行うべきです。
 
 そのトラブルの一因として会計検査院が指摘した6 被用者保険において資格登録が遅延する仕組みについて、改善されているかを質問しました。
 回答 では、「協会においては、事業主の届出より5日以内のデータ登録を行って」いるとするだけで、この仕組みの改善については説明がされていません。
 なおデータ登録の遅延の原因とその対策などについて、厚生労働省から2024年11月29日付けで「加入者が切れ目なく保険診療を受けられる環境の整備について」7 が出されています。

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