マイナンバーはいらない

post by nonumber-tom at 2022.01.28 #314
個人情報保護条例 自治体 条例をリセット 個人情報保護施策後退

住民の個人情報を守ってきた条例が
リセットされようとしています

 2021年5月、個人情報保護法制の一本化が決まりました。自治体の個人情報保護条例も2023年春までに「国基準」に改正することが求められていますが、個人情報保護委員会は自治体の自主的な判断を許容しない姿勢を押しつけようとしています。日弁連はこの動きに対して、地方自治と個人情報保護の観点から条例画一化に反対する意見書を発表しました。
 共通番号いらないネットは、自治体から個人情報保護を守る取り組みを訴えます。

●このメッセージ全文をPDFファイルでダウンロードできます。
»「地方自治体のみなさまへ 個人情報保護を引き下げないでください」

地方自治体のみなさまへ 個人情報保護を引き下げないでください

共通番号・カードの廃止をめざす市民連絡会
(共通番号いらないネット)

 2021年5月、デジタル改革関連法案として個人情報保護関連法を一本化する法改正が決まりました。それにより自治体が国に先駆けて制定してきた個人情報保護条例を「国基準化」することが求められ、2023年春までに全ての自治体で条例の改正が迫られています。
 国会審議では担当大臣の「条例をリセットしていただく」との発言が与野党から批判され、法改正にあたり「地方公共団体がその地域の特性に照らし必要な事項について・・・・・保有する個人情報の適正な取扱いに関して条例を制定する場合には、地方自治の本旨に基づき、最大限尊重すること。また、全国に適用されるべき事項については、個人情報保護法令の見直しを検討すること」が附帯決議されました。
 しかし法改正により新たに行政機関等を監督する個人情報保護委員会は、多くの自治体条例が定めている個人情報の取得・利用・提供等の際の自治体の個人情報保護審議会への諮問やオンライン結合の制限などを条例に定めるのは「許容されない」とし、改正法で新設された「条例要配慮個人情報」についても極めて限定してしか認めようとしていません。
 自治体の個人情報保護の取り組みを尊重しない委員会の姿勢に対し、日本弁護士連合会は2021年11月16日、「地方自治と個人情報保護の観点から個人情報保護条例の画一化に反対する意見書」をまとめ、政府や個人情報保護委員会、地方関係6団体に提出しました。
 「意見書」では改正経過について自治体との調整や国会審議が不十分であったこと、個人情報保護委員会が検討中の案を確定的な解釈であるかのように自治体に説明している問題等を指摘しています。個人情報保護委員会の解釈に対しては、要配慮個人情報の取得や提供等に自治体が独自の規律を追加することを認めないのは個人情報保護の後退をもたらすこと、オンライン結合の制限を認めないのは安全性の確保を軽視しデジタル社会におけるリスクを増大させること、審議会への諮問は住民情報の保護と利活用とを調整し住民参加と情報公開の役割を果たしており適正なデジタル社会推進にとっても有益であること、その他本人外収集の規制を認めないなど現行の個人情報保護条例より制度が後退することを指摘しています。
 さらに地方分権一括法により自治事務への国の関与は必要最小限でなければならず、条例制定権を不当に制約するのは憲法の地方自治の本旨を否定するものであり、共通ルール化は自治体の自主性自立性を踏まえて慎重に検討すべきとしています。また地方自治体に対してはこれまでの個人情報保護条例の運用を踏まえ、自主性及び自律性をもって個人情報保護施策を後退させないための取組を行うことを求めています。
 今回の法改正はデジタル化を強力に進めるためにデータ利活用を円滑化することを目的としていますが、プライバシー侵害の危険性が増大するとかえってデジタル社会の存立基盤が危うくなると日弁連意見書は警鐘を鳴らしています。個人情報保護条例は1970年代に自治体が住民情報のコンピュータ処理を本格化する際に、住民の基本的人権を守り自治体が住民情報の管理に責任を持つ手続として作られはじめました。法改正により個人情報保護の水準が低下し、住民との信頼関係を損なうことがないよう自主的な検討を求めます。
 2022年1月25日


Note
twitter@iranai_mynumber facebook@bango-iranai
次の記事 « » 前の記事