マイナンバーはいらない

post by nonumber-tom at 2021.5.14 #298
デジタル庁 デジタル改革関連法 個人情報保護法 自治体

声明
市民監視を強化するデジタル改革関連法案の採決に抗議する

  5月12日の参議院本会議で、デジタル関連6法案1が可決成立しました。共通番号いらないネットは廃案に向けて、共謀罪NO!実行委員会や「秘密保護法」廃止へ!実行委員会、デジタル監視法案に反対する法律家ネットワーク、デジタル改革関連法案反対連絡会などとともに、毎週国会行動に取り組んできました2
 法案成立に抗議するとともに、今後の闘いに向けて抗議声明を出しました。

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声明
市民監視を強化するデジタル改革関連法案の採決に抗議する

共通番号・カードの廃止をめざす市民連絡会
(共通番号いらないネット)

1.

 2021年5月12日、参議院でデジタル改革関連6法案が可決・成立した。私たちはデジタル法案に対して、マイナンバー制度をますます危険にするものとして反対してきた。
 市民が理解不能な膨大な法案を束ねて、問題点の解明も不十分なまま45項目の法案資料の誤りに示される拙速な提案と短時間の審議によって、IT基本法や個人情報保護法という基本法の全面改正を含む国家改造というべき法改正が強行されたことに強く抗議する。

2.

 デジタル法案は新型コロナ対応の失敗があたかもデジタル化の遅れによるかのようにすり替え、デジタル監視国家をつくろうとするものだ。新設されるデジタル庁は総理大臣を長とし、予算を集中管理し勧告権を持つ民間主導の異例の省庁として、マイナンバー制度をはじめ国・地方・医療教育等の準公共分野の情報システムを一元管理し、個人情報を経済成長と市民監視のために円滑に利活用できる情報システムに再構築しようとしている。
 「なんでもデジタル化」により自動的に蓄積される個人情報が、個人を特定識別して生涯追跡し個人情報を迅速正確に照合する仕組みであるマイナンバーとマイナンバーカードにひも付けられることにより、プライバシーは侵害され選別は強化され行動は監視され、本人(データ主体)の知らないところで勝手に判断される危険が増大し、権利行使は萎縮させられ「民主主義の危機をも招くおそれ」(「社会保障・税番号大綱」)が現実になろうとしている。

3.

 衆参でそれぞれ40項目を超える付帯決議が付されたことに示されるように、短時間の国会審議でも様々な問題が明らかになった。デジタル化の前提として個人情報保護の整備・強化が必要であるにも関わらず、行政機関による個人情報の目的外利用を可能にする規定は放置し、行政を監視できない個人情報保護委員会の実態は変わらず、「匿名加工」と称して行政の保有する個人情報が本人同意もないまま民間企業の営利追求のために提供されていたことが明らかになった。自らの情報の収集・保管・利用・提供を自らコントロールする権利を頑なに認めないという、国際的に恥ずかしい政府の人権意識の低さは是正されなかった。
 地方自治体の業務を支える情報システムを標準化・画一化し、政府の管理するクラウドへの共同化を義務づけ、自治体が住民情報を保護するために育ててきた個人情報保護条例を利活用への配慮が足りないとしてリセットし国基準を押しつけることで、国が住民情報を容易に利用できるようにし、漏洩の危険が増大し、地方自治は破壊されようとしている。
 緊急時の給付を口実に政府による資産把握をめざす預貯金口座へのマイナンバー付番は、世論の反対でマイナンバー提供の義務化は阻止したものの、金融機関の窓口はマイナンバー提供の意思を確認することが義務づけられ、預金保険機構が付番を管理しようとしている。
 その他、自治体が運営し住民情報を集中管理する地方自治体情報システム機構に国が関与する法改正により住民情報を国が合法的あるいは不正に利用する危険が増大し、マイナンバーカードの機能をスマホに搭載可能にすることでスマホを紛失すると個人情報の漏洩だけでなく成り済まし被害が発生するおそれが増大するなど、危険は増すばかりだ。

4.

 法案は成立したが闘いはこれからが重要だ。デジタル庁の実態を明らかにして9月設置とマイナンバー制度の改悪を許さない闘いとともに、個人情報保護条例の国基準化などの地方自治破壊を許さない自治体からの闘いをつくりだそう。
2021年5月13日

Note

*1 デジタル改革関連法案の審議内容や問題点については » こちら を参照

*2 国会行動の模様は » こちら を参照

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