マイナンバーはいらない

post by m-toshi at 2020.12.4 #292
銀行口座 マイナンバー ひもづけ

学習会報告
マイナンバーと銀行口座の紐付けは何を狙っているのか

 2020年10月24日、東京・文京区民センターにおいて「マイナンバーと銀行口座の紐付けは何を狙っているのか」と題した学習会が開催されました。
 共通番号いらないネットの原田富弘さんと共通番号制度を考える会・静岡の山崎秀和さんから問題提起を行っていただき、その後参加者と質疑討論が行われました。少人数でしたがこのテーマを深く掘り下げることのできた学習会でした。

» この集会のビデオと当日配布資料はこちらから

口座付番の3つの目的

 まず原田富弘さんより、特別定額給付金失敗からこの議論が始まった経緯が紹介されました。他の給付金支給には利用しなかったマイナンバーカードを、10万円の特別定額給付金の支給に利用したため支給が遅れました。ところがあたかも振込口座にマイナンバーが紐付けられていないことが原因であるかのように問題の所在がすり替えられました。  
 原田さんは口座付番の真の目的を以下の3点にまとめて提起しました。  
  • (1)金融資産に応じた社会保障の自己負担
  • (2)徴税強化・税収増、社会保険料の値上げと社会保障給付のカット
  • (3)犯罪捜査・治安対策への利用拡大
 口座紐付けを義務化することは困難であること、結局は資産把握されるのは中間層であることなどが語られました1

すべての口座への付番の拡大

 次に山崎秀和さんからは、現在検討されている1人1口座の紐付け義務化は将来的にはすべての口座に拡大されていくであろうことが語られました。私たちの口座は様々な場面で行政にも把握されており、各所にちらばっている口座番号を一元化するための口座番号との紐付けの狙いは金融資産の把握であるとその本質を明瞭に表現しました。

源泉徴収社会 vs. 確定申告社会

 また税務署が納税者の預金口座を把握していないのは日本の源泉徴収制度にその原因があり、アメリカのような確定申告社会であれば、その際に申告した口座を使って給付金の振り込みも確実にできたはずだ。日本の市民の政治意識の低さは年末調整制度により税の申告を本人が直接行っていないことにも起因している。年末調整事務の過重な負担から企業を解放することがまずは必要なのではないか。以上のような貴重な問題提起がなされました2

金融機関への紐づけ情報収集の義務化という「半強制」

 この学習会後に平井卓也デジタル改革担当大臣はマイナンバーと口座との紐付けの義務化については法律として強制しないことを発表しました。これは私たち市民の嫌悪感を反映したものだと評価することもできますが、政権内でも金融資産把握に対する反対があったこともその一因と考えられます。
 金融機関口座とマイナンバーの紐付けは2015年の番号利用拡大においてすでに開始されていましたが、現実的には口座開設時にマイナンバー提供を迫る金融機関はいまだにほとんどないというのが実態です。しかし今回検討されている法案では、口座開設する私たちに提供義務は課さないが、金融機関側には紐づけるための収集の義務を課すという締め付けを行おうとしています。これは番号収集を義務とされている雇用主と同じこととなり、私たち市民が提供を拒否しづらい構造を作ろうとしているという点で、半強制状態を創出することにつながると考えなければなりません。
 2021年の法制化において口座開設時におけるマイナンバー提供の義務化は回避できそうですが、引き続き番号利用拡大を許さない取り組みと研究を進めていきたいと思います。

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