マイナンバーはいらない

post by nonumber-tom at 2020.04.21 #279
声明 新型コロナ対策 マイナンバー制度の利用

声明
新型コロナ対策に便乗したマイナンバー制度の利用に反対する

 新型コロナ対策として、マイナンバーやマイナンバーカードの利用が検討されています。しかしマイナンバー制度の利用にこだわると、かえって給付金の円滑な支給は困難になります。また位置情報などデジタル技術を使った感染者や接触者の監視と、個人の追跡とデータマッチングを可能とするマイナンバー制度が結合すると、民主主義の危機を招きます。共通番号いらないネットは、対策に便乗した利用に反対する声明を発表しました。
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声明 新型コロナ対策に便乗した
マイナンバー制度の利用に反対する
共通番号・カードの廃止をめざす市民連絡会
 
1.
 政府は2020年4月7日に閣議決定した「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」において、「マイナンバーカードの活用等、迅速な給付システムについて検討」「マイナンバーカードを通じた行政サービスの提供を推進する観点から、マイナンバー・マイナンバーカードの更なる活用も見据えた検討も含め、行政サービスや中小企業のデジタル化を推進」する方針を決めた。

2.
 あたかもマイナンバー制度を使えば、給付が迅速に行えたり所得制限が可能であったりするかのような意見が飛び交っている。しかしマイナンバー制度の利用にこだわれば、かえって円滑な給付はできなくなる。
 交付開始4年が経過するマイナンバーカードは、政府のなりふり構わぬ強引な普及策によっても普及率は15.5%(3月1日現在)にとどまる。マイナンバーカードによりマイナポータルを開設してオンライン申請可能な人は、さらにその一部でしかない。サイトにマイナンバーを入力して申請するようなやり方には「成り済まし」の危険があるとして、マイナンバー提供の際は必ず本人確認措置をとることが番号法で義務づけられている。
 預貯金口座へのマイナンバーの付番は進まず、付番しても給付金の振込に使えるわけでもない。2015年の番号法改正で預貯金口座への付番を追加した際に、給付金の振込などの利用は想定されていない。
 マイナンバー制度で提供される「所得情報」は市町村が把握する地方税情報であり、わざわざマイナンバー制度を使うまでもない。使うのであれば法改正が必要だ。そもそもマイナンバー制度での所得把握には限界があることを、政府は認めてきた。
 マイナンバー制度の情報提供ネットワークシステムでは、氏名・住所情報は管理しておらず通知送付には使えない。住所情報を管理する住基ネットを使うのであれば、住基法の改正が必要だ。
 なによりも住民登録者を管理する住基ネットを基盤としたマイナンバー制度では、住居を喪失したり住民登録地以外で生活したりする人を把握できず、「真に手を差し伸べるべき者」である居所喪失者等が対象から漏れてしまうという致命的欠陥がある。2015年10月の全世帯へのマイナンバー通知にあたっては、送付直前の1か月間、震災罹災者やDV・児童虐待の加害者から避難している被害者、長期入院入所者等を対象に、住民登録地以外への送付先登録の申請が行われた。
 2020年度予算の国会審議においては、効果不明のマイナンバーカードを使ったマイナポイントの導入予算等約2500億円を、新型コロナ対策費に組み換える野党共同提案がされたが、政府は受け入れなかった。新型コロナ対策の遅れは、マイナンバーカードの利用にこだわる政府の責任だ。

3.
 マイナンバーカードが普及しないのは、内閣府の世論調査の回答でも明らかなように、多くの人がマイナンバーの提供・利用やマイナンバーカードの所持に不安を抱いているためだ。
 マイナンバー制度について政府は、番号による名寄せで集積した個人情報の漏えいや特定の個人が選別差別される危険、不正利用による財産等の被害、国家による個人情報の一元管理の危険などを認めつつ、個人情報保護措置により現実の危険ではないとしてきた。しかし全国8か所で争われている憲法違反のマイナンバーの利用差止を求める裁判では、個人情報保護措置が機能していないことが指摘されている。
 マイナンバーをいろいろ人が知る状態になるとプロファイリングの危険があるとして事業者に厳格な安全管理措置を求めていた政府は、今、全住民にマイナンバーカードを所持させようと「マイナンバーを見られても個人情報は盗まれない」など無責任な安全キャンペーンを行っている。
 このようなマイナンバー制度だからこそ、不信感を生んでいることを知るべきだ。

4.
 新型コロナ対策として各国で感染者の監視や接触者の把握のために、携帯電話の位置情報やGPSの利用などデジタル技術を使った市民の行動監視が広がっている。中国ではウイグル族への弾圧に活用された監視カメラ網や位置情報、顔認証、キャッシュレス決済から生まれる個人情報を使った「信用度スコア」、身分登録証・身分登録番号などを結びつけた監視システムの構築が進み、新型コロナ対策の市民の行動監視に活用していることが広く知られている。
 日本でも3月31日、内閣官房・総務省・厚生労働省・経済産業省連名でプラットフォーム事業者や移動通信事業者に対し、統計データ等の提供要請がされた。要請では、今後さらに追加的に個人情報の提供を要請する可能性も示唆されている。この要請についてマイナンバー制度の個人情報保護措置として設置された個人情報保護委員会は、4月2日、法令による国の機関等からの情報提供の要請や、公衆衛生の向上のために特に必要があり本人の同意を得ることが困難であるときは、本人同意なく個人情報を目的外利用したり第三者提供したりすることができるという、個人情報の保護機関とは思えない見解を公表している。
 マイナンバー制度を構築するために政府がまとめた「社会保障・税番号大綱」では、「仮に、様々な個人情報が、本人の意思による取捨選択と無関係に名寄せされ、結合されると、本人の意図しないところで個人の全体像が勝手に形成されることになるため、個人の自由な自己決定に基づいて行動することが困難となり、ひいては表現の自由といった権利の行使についても抑制的にならざるを得ず(萎縮効果)、民主主義の危機をも招くおそれがあるとの意見があることも看過してはならない。」と、その危険性を指摘していた。
 さまざまなデジタル情報と、個人の正確な追跡とデータマッチングを可能とするマイナンバー制度とが結合すると、まさに民主主義の危機が現実化する。私たちは、このような危機を招きかねない新型コロナ対策に便乗したマイナンバー制度の利用やマイナンバーカードの普及に反対する。
2020年4月20日  
Note
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