post by m-toshi at 2019.8.07 #262
学校事務労働組合 マイナンバーカード 共済組合員証 一斉取得 取得勧奨 共済組合 申し入れ書
公立学校共済組合本部への申入れと回答
マイナンバーカードの共済組合員証利用にあたって
学校事務職員で組織する全国学校事務労働組合連絡会議(全学労連)は7月17日付で、マイナンバーカードの共済組合員証利用にあたっての申入書を提出し、8月2日に公立学校共済組合本部を訪れ交渉を行いました。申入れ内容とそれに対する回答を報告します。交渉で明らかになった公立学校共済組合の対応の特徴は、マイナンバーカード取得申請書の配布をしないと決めていることです。
以下に、全学労連の申入書とそれに対する公立学校共済組合本部の回答を収録します。マイナンバーカード取得申請書を配布しない共済組合もあることを、他の共済組合との交渉に取り組むに場合は、ぜひ活用していただきたいと思います。
マイナンバーカードの共済組合員証利用にあたって総務省は、マイナンバーなどを事前に印刷(プレプリント)した「マイナンバーカード申請書」を配布するように求めていますが、全学労連の申し入れ書では、「総務省が指示するマイナンバーカード申請書を配布しないこと。かりに配布するとしても組合員と被扶養者の個人情報をプレプリントする等申請に誘導することはせず、組合員の自主的判断に委ねること」を公立学校共済組合に要請しています。
マイナンバーカード利用への意欲は弱い場合がある(?)
これに対して、「申請書配布は行わない」と公立学校共済組合が断言したのは、他の共済組合に比べてマーナンバーカードの組合員証としての利用に対する意欲が弱いことを表していると言えるでしょう。また、総務省の実施する取得状況調査から学校と警察が外されているので、交渉の席でこの調査については実施しないことを確認しようとしましたが、「そこは検討中」という慎重な回答でした。
共済組合本部は7月下旬に「8月はマイナンバー月間」と称して直接全国の小中学校に独自に作成したポスターを郵送しています。これは、8月は教職員も休みやすくマイナンバーカードの申請がしやすいという思惑からの独自策でしょうが、「このポスターそのものを教職員は休んでいて見ないのでは?」という質問に担当者は苦笑していました。なお、この独自ポスターの作製費や送付費用も含む宣伝費用は国に予算要求していることを、共済組合本部は8月7日に回答してきました。
なお、以下の「申し入れ書」には、「申し入れ事項」に対する公立学校共済組合本部の回答要点を挿入しています。活用してください。
2019年7月17日
公立学校共済組合
理事長 金森 越哉 様
全国学校事務労働組合連絡会議
議長 佐野 均
マイナンバーカードの共済組合員証利用にあたっての申入書
前通常国会においては、マイナンバーカードを保険証として利用することを可能とする健康保険法等改「正」が成立しました。また6月4日には、政府のIT総合戦略本部第4回デジタルガバメント閣僚会議で「2022年度中にほとんどの住民がマイナンバーカードを保有することを想定する」方針が決定されました。
これらを受けて、総務省は6月28日付で「地方公務員等のマイナンバーカードの一斉取得の推進について」を地方公務員共済組合等に流しました。そこにおいては地方公務員においても今年度内にマイナンバーカードを一斉取得することが強く推奨されています。
マイナンバーカードは昨年末においても1500万枚、約12%の交付率にとどまっており、当然ながら申請は任意のものです。マイナンバー制度の適用範囲が拡大されたとしても、マイナンバーカードの申請が任意であることに変更ありません。
ところが政府はマイナンバーカードの交付率を高めるために、地方公務員等の共済組合に対して一斉取得に向けて様々な圧力をかけてきています。マイナンバーカードは公的個人認証のための電子証明書の格納機能も搭載され、各種ポイントデータなどの個人情報も蓄積されていくと盗難や紛失による個人情報漏洩の危険性は格段に高まります。医療機関受診のたびにマイナンバーカードだとオンライン資格確認を行わねばならず、紛失等の危険性も圧倒的に高まります。さらに組合員証として利用しても私たちの利便性が高まるとは到底思えません。
このように利便性もなく、危険性ばかり高まるマイナンバーカードの共済組合員証利用を私たちは決して望んでいません。また保険者としてマイナンバーカードの普及を国に代わって要請する必要が理解できません。よって今回のマイナンバーカードの共済組合員証利用にあたって以下の項目について申し入れを行いますのでご検討の上、ご回答ください。
またマイナンバー制度による情報連携は、私たちが共済組合に提供した個人情報を私たちの同意なく、法律や条例に定められた他の目的に利用することを認める仕組みです。私たちは公立学校共済組合に提供した自分の情報については共済組合事務に限定して利用すべきであり、他の事務に提供する場合は本人同意を取るべきだと考えます。それが自己情報コントロール権を守るということです。私たちは自己情報コントロール権を保障しないマイナンバー制度のお先棒を担ぐような姿勢を公立学校共済組合に採ってほしくありません。
最後に本申し入れに対する回答を8月2日に伺いに参りたいと思いますのでその点もご検討ください。
記
1. マイナンバーカードの共済組合員証としての利用を行わないこと
回答 5月22日に「医療保険制度の適正かつ効率的運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律」が公布され、令和3年3月よりマイナンバーカードを健康保険証として使用できることとなった。これは法改正によるものなので回答を差し控えたい。
2. マイナンバーカードの取得はあくまで任意であるので、現行の共済組員証使用継続を認め、かつ利便性を損なわないこと。当然ながら共済組合員証の取得と利用にあたっての有料化もしないこと。
回答 現在の保険証は引き続き使用可、となっている。取得と利用についての有料化については、公立学校共済組合としては承知していない。
3. マイナンバーカード申請に組合員を誘導しないこと。誘導するような宣伝も一切行わないこと。
回答 6月4日デジタルガバメント閣僚会議で「マイナンバーカードの普及と活用の促進に関する方針」が決定され、また6月21日に骨太方針2019が閣議決定された。この中で「医療保険者ごとにマイナンバーカード取得推進に取り組む」こととされている。これについて文部科学省より当組合に「組合員及びその被扶養者の理解と協力の下、マイナンバーカードの一斉取得の推進に向けて、組合員等への周知」の依頼があった。この依頼に基づき当組合では、組合員へマイナンバー制度の概要やマイナンバーカードのメリット、申請方法等について、分かりやすく広報等をすることとしている。
4. 総務省が指示するマイナンバーカード申請書を配布しないこと。かりに配布するとしても組合員と被扶養者の個人情報をプレプリントする等申請に誘導することはせず、組合員の自主的判断に委ねること。
回答 当組合では、総務省が指示する組合員へのマイナンバーカード交付申請書の印字配布を行う予定はない。
5. 総務省が実施するマイナンバーカードの申請・取得状況調査には応じないこと
回答 マイナンバーカードの申請・取得状況調査における当組合の対応方法については、現在検討中である。
7. マイナンバーカードの共済組合員証利用についての公立学校共済組合の今後の方向性を明らかにすること。
回答 「1」と同様、法改正に関することなので、回答できる立場にない。