マイナンバーはいらない

post by m-toshi at 2019.4.24 #250
デジタルファースト ワンスオンリー コネクテッド・ワンストップ

マイナンバーカード普及策としての
デジタルファースト法案に反対する声明

 2019年3月15日、政府は行政手続を原則として電子申請に統一し、マイナンバーカードを普及させるためのデジタルファースト法案を国会に上程しました。この法案は通知カードを廃止してマイナンバーカードを普及させることを主要な目的とし、紙で何ら問題のない行政手続を強制的にデジタル化しようというものです。共通番号いらないネットは4月12日にデジタルファースト法案に反対する声明を発表しました。

マイナンバーカード普及策としての
デジタルファースト法案に反対する声明

 行政手続を原則として電子申請に統一するデジタルファースト法案が3月15日に閣議決定され、国会上程された。  同法案は、行政手続オンライン化法をデジタル行政推進法に変更するものであり、それに伴い番号法と公的個人認証法、住民基本台帳法を一括改正するものである。 政府は(1)個々の手続・サービスが一貫してデジタルで完結する「デジタルファースト」(2)一度提出した情報は(官民で情報共有して)二度提出することを不要とする「ワンスオンリー」(3)官民手続を一度に済ます「コネクテッド・ワンストップ」により、情報通信技術の便益を享受できる社会が実現するとしている。

●利便性も少なく、市民が望んでいたものではない!

 しかし、行政手続に関する電子申請化やワンストップサービス以前からその促進が喧伝されてきたが、現実の市民の申請は、引っ越しや死亡のように一生のうちで何回もあることではない。しかも昨年10月の内閣府の世論調査で62.2%がマイナポータルを特に利用してみたいとは思わないと回答したように、電子申請やワンストップに市民は大きな利便性を感じていない。あらゆる手続きをデジタル化することは、私たち市民から発せられた要望では決してなかった。

●最大の狙いはマイナンバーカードを普及させること

 本人確認情報の保存及び提供範囲の拡大なども狙いの柱であるが、今回の法案の最大の狙いは、低迷するマイナンバーカードの普及を促進することにある。現在交付率は12.2%、1,564万枚(2018年12月1日総務省発表)しかマイナンバーカードは普及していない。この状況を改善し、大多数の市民にマイナンバーカードを保持させるために、今国会ではマイナンバーカードの保険証利用法案も併せて提出されている。
 デジタルファースト法案では、法公布後1年以内にマイナンバーの「通知カード」の発行や更新をやめることが明記されている。通知カードは運転免許証などの証明書と併せて本人確認書類として利用されている。内閣府の世論調査で53%が今後も取得するつもりがないと回答しているマイナンバーカードを、通知カード廃止により強引に取得へ追い込んでいこうという意図が明白である。今回の法案は「マイナンバーカード普及法案」である。しかし、国税庁が今年からマイナンバーカードを使わない確定申告の電子申請を認めたように、国の省庁でさえマイナンバーカードの普及が必ずしも行政効率化に資するとは思っていない。

●デジタルファーストで個人情報漏洩や悪用の危険性は高まる!

 しかも、マイナンバーカードは、利用する立場にある市民からは到底信頼が得られているとは言い難い。オールインワンにすることで、紛失した場合のリスクの大きさを恐れている市民にとって、マイナンバーカードに対する恐怖心はかなり大きく、個人情報漏洩に対する懸念も大きいのだ。また、国内版パスポートとしてマイナンバーカードを常時携帯させるような監視国家が目指されているのだとしたら、そうした社会も御免こうむりたい。
 さらに行政手続の原則オンライン化や添付書類の撤廃を実現するため情報システム整備が計画されているように、この法案は官民で本人確認情報など個人情報の共有を拡大することによりあらゆる手続きをデジタル化しようとするものだ。私たち市民の機微情報がデジタル化されることに対しても大きな懸念を抱かざるをえない。何でもデジタル化すればよいというものではない。デジタルファーストによって私たち市民のあずかり知らぬところで、個人情報が漏えいし、集積され、悪用される危険性も格段に高まるのがデジタルファースト社会の影の部分である。

●わかりやすく説明できていない法案を勝手に成立させるな!

 私たちはこのように、市民の間でデジタルファースト化が何をどう変えるのかについて十分な周知のない中で拙速に法律化すべきではないと考える。
 まずはその具体的内容を広く市民に伝達してその是非について検討する機会を保障すべきである。そうした機会の保障なく強硬に本法案を成立させることには強く反対する。
2019年4月12日
共通番号・カードの廃止をめざす市民連絡会(共通番号いらないネット)

Note
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